FOOCOM.NETの白井洋一氏のコラム「農と食の周辺情報」の「
有機農業と慣行農業 収穫量を比較する」を読んで。
このコラムで紹介されている「全体の平均で、有機の収量は慣行の80%(2割減)だった」「有機で収量減となる主な理由は、肥料の制約と病害虫による被害」は,白井氏も述べているように,今までに幾度となく指摘されている。
また,ミネソタ大学の次のプレスリリース(2012年4月26日)での次の見解を紹介している。
今回は有機と慣行農業の収量を比較したが、収量は一つの目安にすぎない。マメ科作物との輪作、雑草や土壌流出を抑えるカバークロップなど有機農業から学ぶ点も多い。重要なのは、有機と慣行、両者の長所を取り入れて、いかに環境への負荷を減らし持続可能な食料生産をするかだ。「有機農業で世界の人口や食料をまかなえるのか?」というのはおそらく間違った設問だ。
この指摘は最もだ。少なくとも日本の聡明な農業者は,かなり以前から「有機と慣行、両者の長所を取り入れて」農業を行っている。他の栽培方法との差別化を主張するのは,多くが「有機農業」側であり,「環境にやさしい農業」「安全な農産物を栽培する農業」を主張している。ここでポイントなのは,「環境負荷低減」ではなく「環境にやさいい農業」と主張する点だ。極端になると「自然農法」なるものが登場し,「環境負荷のない農業」を主張する。
本blogで何度か触れているが,農業自体は環境破壊行為である。この点を前提として,「持続可能な農業」を行うために「環境負荷」を如何に「低減」するか,この点が現在の農業に求められているポイントである。
最後に白井氏は,次のように指摘している。
今回紹介した2つの論文は、おおまかに有機と慣行農業の生産性を比較するうえでは役に立つ。しかし、これで有機農業は収量が2割、3割も劣るから、世界の人口増には対応できないと有機農業批判の材料とすべきものでもない。
何故,供給量の問題を挙げて「有機農業」が批判されるのか。それは「有機農業」側が,「有機農業」でも農産物供給量を確保できるから環境負荷・環境破壊に結びつく慣行農業は好ましくない,と主張するからだろう。そうした主張に対して,客観的な科学的知見を基に批判が行われているに過ぎない。むしろ,「有機農業」側が,自分たちに都合の良い論文だけを取り上げて「有機農業」の優位性を主張する点について,厳しく批判されるべきだと思う。
posted by tahata at 19:40|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
環境,食品,農業
|

|