2017年05月22日

「食品の安全な使用」の指針

少し前に報道された乳児ボツリヌス症に関連して,次の2つの優れた情報がネットで公開されている。

・ 蜂蜜だけではない。乳児に食べさせるときに注意すべき食品は、これだけある
・ 食品安全情報(化学物質)No.10(2017.05.10)別添/食品の安全な使用についての一般的な取扱説明書(フィンランド食品安全局)(PDFファイル)

また,厚生労働省から示されている「授乳・離乳の支援のポイント」(2007年3月)の「3離乳編」の中でも,「離乳の支援のポイント(41ページ~)」として注意点が詳しく解説されている。

これらの資料は,「食品の安全な使用に関する」信頼性の高い情報である。
posted by itoh at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

食品安全のための科学的国際協力の未来には何があるのか

2017年4月26日,食品安全委員会主催国際専門家招へいプログラム「国際会議~食品安全のための科学的国際協力の未来には何があるのか~」に参加してきた。
当日の資料と会議で示された結論が食品安全委員会ウェブサイトで公開されているので,詳しくはそちらを参照いただきたい。
ここでは,私がメモしたコメント等を書き出しておく。

Paul Chiew King Tion(ARAC科学委員会委員長)
グローバル化の現在において,すべてを規制するのは無理。
リスク評価の方法は,まだ各国で違いがある。
リスクコミュニケーションでは,分かりやすく説明する必要がある。また,ゼロリスク要求に対して,どのようにリスク受容を説明するのかが重要。

Reiner Wittkowski(BfR副所長)
リスクコミュニケーションが特に重要。
食の多様性は尊重しつつ,安全性をハーモナイゼーションすべき。

Guilhem de Seze
科学的なメッセージを出すことが重要。

Patrick Deboyser(ASEAN欧州連合代表部保健及び食品安全担当公使参事官)
教育の向上が重要,特に開発途上国において。
規制する場合でも,きちんと説明し理解してもらう必要がある。
リスク認識・・・例:タバコ

Roger Genet(ANSES長官)
社会科学分野のすべてを取り込んでディスカッション(リスクコミュニケーション?)すべき。

Bernhard Url(EFSA長官)
産品の輸出入は進んでいるが,それに関連するデータや知識の共有は立ち遅れており,各国間で齟齬が出ている。
Scienceは社会に受け入れられなければ意味がない。GMOが好例。Scienceとしては安全性が評価されているが,今のEUでは,信念でGMOを受け入れないと決めた。
ステークホルダー間での共有理解が必要。
政策立案の時にも正しい提案が必要。
各機関の間で,お互いを真に信頼する必要がある。
科学は真実を示すものではなく,真実を近似値で表すもの。


会場からの質問で,「エクポージャー(exposure)」の概念も重要との意見があった。私は不勉強のため,「エクポージャー(exposure)」が具体的にどういう内容を示すのかよく分からなかった...。
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2016年11月06日

核災害後の公衆衛生:放射線リスクを超えて(WHO紀要Vol.94から)

2016年11月2日食品安全情報blogのレビューで、WHO紀要Vol.94から「核災害後の公衆衛生:放射線リスクを超えて」が紹介されていた。食品安全情報blogでは、同様の論旨の論文等が度々取り上げられている。
とても重要な内容なので、レビュー全文を引用する。
括弧内はuneyama氏のコメント。
最後に紹介されているURL先の記事も、とても素晴らしい内容となっている。是非とも一読していただきたい。
Bulletin of the World Health Organization
Volume 94, Number 11, November 2016, 785-860
http://www.who.int/bulletin/volumes/94/11/en/

核災害後の公衆衛生:放射線リスクを超えて
Public health after a nuclear disaster: beyond radiation risks
Claire Leppold, Tetsuya Tanimoto & Masaharu Tsubokura
http://dx.doi.org/10.2471/BLT.15.168187
(筆頭著者のClaire Leppoldは南相馬市立総合病院 研究者)

日本の三重の災害から5年、災害後の福島県の健康についての簡単な概要を伝える

災害後放射線のリスクが注目されたが放射線による死亡や急性健康影響は報告されていない。2015年に発表された甲状腺がんの報告は科学コミュニティから批判されたが一般の人々全てには届かず、医療の専門家すら混乱している。放射線に関する議論が放射線以外の被害への無視につながっている。事故後の強制的避難と福島への社会的スティグマが健康に大きな影響を与えた。1986年のチェルノブイリ事故でも最も深刻な健康被害は精神衛生上の負担だった。福島も同じである。内部被曝がほとんどないのに比べて非伝染性疾患や精神衛生上の負担はあまりにも大きい。特に高齢者で顕著である。放射線暴露を減らすための避難と生活環境の変化は包括的リスク評価無しには正当化できない。福島から学ぶことはまだ多い。

(この人
福島と、「知る」という技術
http://www.huffingtonpost.jp/claire-leppold/fukushima-and-the-art-of-knowing_b_10538826.html
結局チェルノブイリの教訓は福島で生かせていない。ただこういう人が来て発信していることはとても素晴らしい。旧ソ連と違って情報は開示されている。)
posted by itoh at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

ピロリジジンアルカロイド(PAs)

2016年10月26日発行食品安全情報(化学物質)No.22で、ピロリジジンアルカロイド(PAs)について取り上げられていた。
こうした天然毒素があるのは知っていたが、PAsという物質を知ったのは初めて。解説によると、海外では食品中のPAsが注目されているとのこと。このレビューやPAsに関する食品安全情報の過去記事まとめを見ていると、少なくとも「青汁」みたいな商品は怖くて飲めないぁという感想を持った。
最近は、今まで利用されなかった植物から作ったお茶なんかが出回ってるが、ああいう商品もPAsに限らずいろんな天然毒素が多く含まれていそうで手が出ない。また、そうした商品開発に行政機関が係わっている場合も見られるが、安易に推奨していないだろうか?
posted by itoh at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2016年09月12日

『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』

やっと、『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』を読了した。
先に読んでいた『地球とつながる暮らしのデザイン』が、あまりにつまらなくてなかなか読み進められなかったこともあって、発行されてすぐに買ったのに、1か月以上も机に置いたままになっていた。

本書は、子育てしている一般の大人向けに書かれていることもあって、読みやすく書かれている。私にとっては、執筆者の大半が何度もその文章を読んでいる人たちだったこともあって、一気に読み進めることができた。
子育て中の大人や今後子育てする予定の人たち、また教育現場(学校教育、社会教育)における副読本としてもすぐれた1冊となっている。

細かい点では、もう少し掘り下げて解説して欲しい!と思った点はある。
1つ挙げると、堀成美氏「ワクチンは毒だと聞きました」で、ワクチンの副作用について副反応はゼロではありませんが、ごくまれです。としか述べてない部分。
ワクチン摂取に不安を持つ保護者の多くは、漠然とワクチンの副作用に対して不安を持っているからこそ、反ワクチンに流されやすいと思われる。もちろん、ワクチンそのものの有用性を分かりやすく解説している本項は素晴らしいのだが、加えて、ワクチンの副作用についても同様に解説していただき、保護者の不安を少しでも取り除いて欲しかった。

私が特に良かったと思ったのは、「第4章 教育」の部分。この章で取り上げられている内容も既に知っていたが、改めて読んで、学校教育現場の異常性を改めて痛感した。
別の視点ではあるが、林竹二氏が1970年代から1980年代にかけて痛烈に批判した学校教育現場の構造的問題が、21世紀の現代においても何ら変わらず存在していると感じた。しかも、ニセ科学に基づく親学等を、現日本国首相の安倍晋三氏らが普及を図っていることに、背筋が凍る恐怖を感じた。
posted by itoh at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする