2018年12月16日

果実・野菜飲料-ストレートと濃縮還元-

某所で,果実・野菜飲料のストレートと濃縮還元における栄養成分の違いが話題になっていた。
ストレートと濃縮還元で大きな違いはなかったと記憶していたが,濃縮製法を忘れて島知っていたので,復習も兼ねて少し調べてみた。

まずは栄養成分の違い。
文部科学省ウェブサイトにある「食品成分データベース」で,バレンシアオレンジジュースを例に,濃縮還元果汁とストレート果汁の栄養成分を表にまとめた。
やはり,ほぼ違いはなかった。

次に濃縮方法。
Wikipedeaの記述を参考にすると,煮沸濃縮,真空濃縮,凍結濃縮,膜濃縮(膜分離),超音波霧化分離があるとのこと。
飲料メーカーのウェブサイトで調べてみると,カゴメ(株)では真空蒸発濃縮法が紹介されていた。
ほかに,日本ジュース・ターミナル(株)でも,ブラジルの工場で真空加熱して濃縮していると説明されていた。


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GAPと食品衛生法

2018年6月13日,改正食品衛生法公布。

今回の改正のポイントの1つは,Codex準拠HACCPの制度化(これまではガイドライン)。
(a)公布から2年以内に施行。施行後1年間は経過措置期間。
(b)遅くとも,2021年6月から完全施行。
(c)法第11条第1項が該当。
(d)違反すると,1年以下の懲役又は100万円以下の罰則あり(法83条第1項)。

HACCPの義務化により,食品等事業者(注)は,衛生管理された農場から原材料を調達することが求められる。
(注)食品等事業者:食品を製造,加工,調理,貯蔵,運搬,販売等を行う事業者。卸売市場なども含まれる。

「衛生管理された農場」=「GAPに取組んでいる農場」なので,事実上,GAPを実施している農場からの原材料調達が求められる。

有機農産物,特別栽培農産物及びエコファーマーは,環境負荷低減技術の導入・定着を目的とした認証・認定制度であり,「衛生管理された農場」にはならない。

食品衛生法では,GAP認証までは求めていない。
→でも,GAP農場からの仕入れをどうやって証明する?

食品衛生法でCodex準拠HACCPが遵守義務になったことで,GAP取組は,国内市場で生き残るための最低条件となる。

流通業界では,以前から取引先農場に対して,GAP認証取得を求めている。
(例)イオングループ,セブン&アイグループ,伊藤園(株),日本コカ・コーラ(株),ゼスプリインターナショナルジャパン(株)等。

今後は,上記大手市場流通企業以外からも,GAP取組・GAP認証が求められるだろう。

JAの部会毎の出荷の場合,個々の農業者にGAP認証を求めるのは難しい。
→JAが団体事務局となって,GAP認証を進めるべきでは?

農業生産現場においてGAP取組支援をすべき農業普及組織やJA営農組織において,どの程度GAP取組支援可能なスタッフが育成されているのか?
(a)農林水産省が定義する「GAP指導員」
「GAPについて,指導に必要な知識を習得するための研修を受講し,3件以上の指導実績がある者。」
(b)2018年9月30日現在,全国で976名。
(c)宮城県,群馬県,神奈川県,京都府及び高知県は,0名。
(d)ほかに10自治体が,4名以下。

国ではGAP取組支援を重要視しているようだが,自治体によって対応に大きな違いが出ている。

取組が遅れている自治体は,将来,自治体内で生産された農産物が流通されなくても良いと考えているのか?


<参考リンク>
普及事業関係法令等(農林水産省)
GAP指導員(農林水産省)
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2018年11月23日

球磨焼酎(2)

球磨焼酎は現在28(26+1+1)の蔵元があるが,昔は30以上の蔵元があった。

球磨焼酎は,1995年にWTOトリプス協定で”地理的表示の産地指定”を受けたブランドの1つ。
球磨焼酎と謳えるのは,「米のみを原料として,球磨郡又は人吉市の地下水で仕込んだもろみを球磨郡又は人吉市で単式蒸留し,瓶詰めしたもの」という定義に基づいて製造された焼酎のみ。

日本で焼酎が作られるようになった時期ははっきりとは分からないが,文字資料から少なくとも16世紀後半まで遡る。
焼酎が作られるようになる前は,九州でも日本酒が主たるアルコール飲料だったのではないかと思われる。
ちなみに,九州でも,福岡市とその周辺,熊本市とその周辺の2地域は日本酒文化圏。

球磨焼酎は米を原料とした焼酎なので,人によっては,同じく米が原料の蒸留酒である泡盛と味が近いと感じるらしい。泡盛はタイ米(インディカ米),球磨焼酎はジャポニカ米を原料とする。

私の好みでお勧め蔵元&銘柄を挙げると,木下醸造所「文蔵原酒」,林酒造場「ごくらく原酒」,繊月酒造「川辺」。
焼酎を飲み慣れないのであれば,減圧蒸留銘柄が無難だが,私のお勧めはやはり常圧蒸留&甕貯蔵銘柄。「文蔵原酒」「ごくらく原酒」は常圧蒸留&甕貯蔵,「川辺」は減圧蒸留&甕貯蔵。
球磨焼酎「全蔵物語」という,ミニボトル(約100mL/1瓶)で全蔵元の代表銘柄を網羅した限定商品がある。在庫を持っているショップを探すのが難しくなっているようだが,もし見つけることができれば購入をお勧めする。球磨焼酎「全蔵物語」で自分の好みに合った蔵元を見つけ,その蔵元の銘柄を試して欲しい。

球磨焼酎の蔵元の1つ松の泉酒造は,内村光良氏(ウッチャン)の親類。内村光良氏の実家って,たしか人吉市で酒屋やってたと思う。それと,セブンイレブンなどでよくみかける六調子酒造(球磨焼酎の蔵元の1つ)の「六調子」のラベルは,人間国宝でもある故芹沢銈介氏によるもの。私の尊敬する旧石器文化研究で有名な故芹沢長介氏は,故芹沢銈介氏のご子息。

現存する蔵元のうち,6蔵元は江戸時代創業。私のお勧め蔵元に挙げた木下醸造所もその一つで文久2年(1862年)創業。銘柄名にも使用されている創業者の文蔵は,球磨郡に伝わる民謡「六調子」に,「多良木じゃ文蔵じい(爺)」と出てくるくらい有名だったらしい。他の5蔵元は,松下醸造場(文化元年,1804年),宮元酒造場(文化7年,1810年),深野酒造(文政6年,1823年),鳥飼酒造(口承では慶長以前),林酒造場(江戸時代中期)。
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2018年10月14日

本の記録

食品安全
(1) 畝山智香子「ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想」2009
(2) 畝山智香子「「安全な食べもの」ってなんだろう? 放射線と食品のリスクを考える」2011
(3) 畝山智香子「「健康食品」のことがよくわかる本」2016
(4) FAO「FAO食品・栄養シリーズ第87号 食品安全リスク分析 食品安全担当者のためのガイド」2008
(5) エリザベス・M・フェラン「創られた恐怖 発ガン性の検証」1996
(6) 唐木英明「牛肉安全宣言 BSE問題は終わった」2010
(7) 黒木登志夫「人はなぜガンになるのか」(暮しの手帖第3世紀25)1990
(8) 齋藤訓之「有機野菜はウソをつく」2015
(9) 佐々木 敏「佐々木敏の栄養データはこう読む! 疫学研究から読み解くぶれない食べ方」2015
(10) 佐々木 敏「佐々木敏のデータ栄養学のすすめ 氾濫し混乱する「食と健康」の情報を整理する」2018
(11) ジェームス・P・コールマン「天然モノは安全なのか? 有機野菜やハーブもあぶない」2003
(12) 食品安全委員会「食品安全 キッズボックス総集編」2014
(13) 食品安全委員会「いわゆる「健康食品」について」2015
(14) 食品安全委員会「食品の安全性に関する用語集(第5版)」2015
(15) 食品安全委員会「食べものについて知っておきたいこと 食品安全e-マガジン[読み物編]総集編」2016
(16) 食品安全検定協会「食品安全検定テキスト 中級 第2版」2018
(17) 食品安全検定協会「食品安全検定テキスト 初級 ―食の「安全」と「安心」をめざして―」2015
(18) 食品安全検定協会「食品安全検定テキスト 中級 ―食の「安全」と「安心」をめざして―」2014
(19) 食品の安全を守る賢人会議「食品を科学する 意外と知らない食品の安全」2015
(20) 新山陽子(編)「食品安全システムの実践理論」2004
(21) 関澤 純「これ,食べたらからだにいいの? 食と健康-「安全」と「安心」のギャップをうめる」2010
(22) 宋 美玄ら「各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと」2016
(23) 高橋久仁子「「食べもの情報」ウソ・ホント」1998
(24) 高橋久仁子「食と健康Q&A チョットおかしな情報の見分け方・接し方」2002
(25) 高橋久仁子「「食べもの神話」の落とし穴 巷にはびこるフードファディズム」2003
(26) 高橋久仁子「フードファディズム メディアに惑わされない食生活」2007
(27) 高橋久仁子「「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する」2016
(28) 辻村 卓ら「野菜のビタミンとミネラル 産地・栽培法・成分からみた野菜の今とこれから」2003
(29) T・ジョスリングら「食の安全を守る規制と貿易 これからのグローバル・フード・システム」2005
(30) 中西準子「食のリスク学 氾濫する「安全・安心」をよみとく視点」2010
(31) 長村洋一「長村教授の正しい添加物講義」2015
(32) 成田崇信「乳幼児から高校生まで! 管理栄養士パパの親子の食育BOOK」2015
(33) 新山陽子(編)「食品安全システムの実践理論」2004
(34) パム・ロナルドら「有機農業と遺伝子組換え食品 明日の食卓」2011
(35) 船山信次「毒があるのになぜ食べられるのか」2015
(36) 船山信次「毒!生と死を惑乱 「薬毒同源」の人類史」2016
(37) 細貝祐太郎ら「食品衛生の歴史と科学 人はいかにして毒を知り食の汚染を防げるようになったか」2013
(38) 松永和紀「「食品報道」のウソを見破る 食卓の安全学」2005
(39) 松永和紀「踊る「食の安全」 農薬から見える日本の食卓」2006
(40) 松永和紀「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」2007
(41) 松永和紀「シリーズ地球と人間の環境を考える11 食品の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない」2010
(42) 松永和紀「お母さんのための「食の安全」教室」2012
(43) 松永和和紀「効かない健康食品 危ない自然・天然」2017
(44) 村上道夫ら「基準値のからくり 安全はこうして数字になった」2014
(45) 山下一仁「食の安全と貿易 WTO・SPS協定の法と経済分析」2008
(46) レスター・ブラウン「フード・セキュリティー だれが世界を養うのか」2005

リスク・リスクコミュニケーション
(47) 五十嵐泰正ら「みんなで決めた「安心」のかたち ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年」2012
(48) ウルリヒ・ベック「危険社会 新しい近代への道」1998
(49) 岡本浩一「リスク心理学入門-ヒューマン・エラーとリスク・イメージ-」1992
(50) 加茂将史「生態学と化学物質とリスク評価」2017
(51) 吉川肇子「リスクとつきあう 危険な時代のコミュニケーション」2000
(52) 木下冨雄「リスク・コミュニケーションの思想と技術 共考と信頼の技法」2016
(53) ゲルト・キ-ゲレンツァー「数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活 病院や裁判で統計にだまされないために」2003
(54) 佐藤健太郎「「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる」2012
(55) J.V.ロドリックス「危険は予測できるか! ―化学物質の毒性とヒューマンリスク―」1994
(56) ジョン・F・ロス「リスクセンス-身の回りの危険にどう対処するか」2001
(57) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門1 リスク学とは何か」2013
(58) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門2 経済からみたリスク」2013
(59) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門3 法律からみたリスク」2013
(60) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門4 社会生活からみたリスク」2013
(61) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門5 科学技術からみたリスク」2013
(62) ダン・ガードナー「リスクにあなたは騙される 「恐怖」を操る論理」2009
(63) 中谷内一也「リスクのモノサシ 安全・安心生活はありうるか」2006
(64) 中谷内一也「安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学」2008
(65) 中谷内一也「信頼学の教室」2015
(66) 西澤真理子「リスクコミュニケーション」2013
(67) 西澤真理子「「やばいこと」を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション」2017
(68) 林 裕造ら(監訳)「リスクコミュニケーション 前進への提言」1997
(69) バルーク・フィッシュホフら「リスク 不確実性の中での意思決定」2015
(70) 久松達央「キレイゴトぬきの農業論」2013

行動経済学
(71) 佐藤雅彦ら「行動経済学まんが ヘンテコノミクス」2017
(72) ダン・アリエリー「予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」2013
(73) ダン・アリエリー「アリエリー教授の「行動経済学」入門」2017
(74) 日本経済新聞社(編)「やさしい行動経済学」2017
(75) ロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器[第三版]-なぜ,人は動かされるのか」2014

放射能
(76) 安斎育郎「[増補改訂版]家族で語る食卓の放射能汚染」2011
(77) 菊池 誠ら「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」2014
(78) 北村美遵「地球はほんとに危ないか? 真説・環境問題入門」1992
(79) 田崎晴明「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」2012
(80) 中西準子「リスクと向きあう 福島原発事故以後」2012
(81) 中西準子「原発事故と放射線のリスク学」2014

環境全般
(82) アン・ナダカブカレン「地球環境と人間 21世紀への展望」1990
(83) 宇井 純「公害原論 Ⅰ」1971
(84) 宇井 純「公害原論 Ⅱ」1971
(85) 宇井 純「公害原論 Ⅲ」1971
(86) 宇井 純「公害原論補巻Ⅰ 公害と行政」1974
(87) 宇井 純「公害原論補巻Ⅱ 公害住民運動」1974
(88) 宇井 純「公害原論補巻Ⅲ 公害自主講座運動」1974
(89) 宇井 純「キミよ歩いて考えろ」1979
(90) 宇井 純「公害自主講座15年」1991
(91) 宇井 純「宇井純セレクション1 原点としての水俣病」2014
(92) 宇井 純「宇井純セレクション2 公害に第三者はない」2014
(93) 宇井 純「宇井純セレクション1 加害者からの出発」2014
(94) 菊池 誠ら「もうダマされないための「科学」講義」2011
(95) 小島正美「誤解だらけの「危ない話」 食品添加物,遺伝子組み換え,BSEから電磁波まで」2008
(96) 小島道一「リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか」2018
(97) 左巻健男「ニセ科学を見抜くセンス」2015
(98) J.リロンデルら「硝酸塩は本当に危険か―崩れた有害仮説と真実」2007
(99) 武田計測先端知財団編「選択 -リスクとどう付き合うか-」2009
(100) 中西準子「都市の再生と下水道」1979
(101) 中西準子「水の環境戦略」1994
(102) 中西準子「環境リスク論 技術論からみた政策提言」1995
(103) 中西準子「環境リスク学 不安の海の羅針盤」2004
(104) NATROM「「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法,健康法から身を守る!」2014
(105) ビョルン・ロンボルグ「環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態」2003
(106) 水俣病公式確認五十年誌編集委員会「水俣病の50年 今それぞれに思うこと」2006
(107) レイチェル・カーソン「沈黙の春」2001

病害虫関係
(108) 有江 力(監修)「図解でよくわかる 病害虫のきほん」2016
(109) 飯田 格「植物病理学」1978
(110) 大串龍一「[農薬基礎ゼミナー]病害虫・雑草防除の基礎」2000
(111) 鈴木知之「虫の卵ハンドブック」2012
(112) 難波成任(監修)「植物医科学 上」2008
(113) 根本 久「イラスト 基本からわかる病害虫の予防と対策」2012
(114) 細矢 剛ら「野外で探す微生物の不思議 カビ図鑑」2010
(115) 堀江博道ら「カラー図説 植物病原菌類の見分け方Ⅰ,Ⅱ」2014
(116) 堀江博道ら「植物医科学実験マニュアル―植物障害の基礎知識と臨床実践を学ぶ―」2016
(117) 松井正春ら「改訂植物防疫」2007年
(118) 三田村敏正「繭ハンドブック」2013
(119) 安田 守ら「イモムシハンドブック」2010
(120) 安田 守ら「イモムシハンドブック2」2012
(121) 安田 守ら「イモムシハンドブック3」2014
(122) 米山伸吾ら「仕組みを知って上手に防除 病気・害虫の出方と農薬選び」2006

農薬関係
(123) 梅津憲治「農薬と食の安全・信頼~Q&Aから農薬と食の安全性を科学的に考える~」2014
(124) 鈴木啓介「安全食品 農薬を知ろう!」2004
(125) 寺岡 徹(監修)「図解でよくわかる 農薬のきほん」2014
(126) 日本植物防疫協会「農薬取締法令・関連通達集」2007
(127) 日本植物防疫協会「農薬作用機構分類一覧」2013
(128) 日本植物防疫協会「農薬概説 2017」2017
(129) 平野千里「原点からの農薬論 生き物たちの視点から」1998
(130) 福田秀夫「農薬に対する誤解と偏見」2000
(131) 福田秀夫「続 農薬に対する誤解と偏見」2004
(132) 宮本純之「反論! 化学物質は本当に怖いものか」2003

その他
(133) 有本健男ら「科学的提言 21世紀の科学技術と政策形成」2016
(134) 神門善久「日本の食と農 危機の本質」2006
(135) ルトガー・ブレグマン「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」2017

【番外(反面教師)】
(136) 安部 司「食品の裏側 みんな大好きな食品添加物」2005
(137) 河北新報社編集局「無登録農薬はなぜつかわれた 豊かさの死角」2004
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2018年09月24日

農薬の使用や作物残留に関する規制

農薬に関する規制は,大きく農薬取締法と食品衛生法に基づいて行われる。この規制について,普及指導員等,農業関係機関職員でも正確に理解していないことが少なくない。
そこで,今回はその違いについて,農薬使用について焦点を絞って簡単に振り返る。

農薬取締法に基づく規制は,農薬使用基準による使用方法に関する部分と,製造・販売に関する部分がある。農薬使用基準は,農薬取締法に基づく省令「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」(農林水産省・環境省令第5号,平成15年3月7日,最終改正平成17年5月20日)第2条第1項で規定されている。簡単に述べると,「適用作物,希釈倍数,使用時期,成分の総使用回数」の4項目が,遵守義務(違反すると罰則が科せられる)と規定されている。また,製品の有効期限内で使用すること,農薬使用の記録,農薬飛散対策などが,努力義務(違反してもただちに罰則は科せられない)として規定されている。このように,農薬取締法は農薬の使用に係る部分を規制対象としている。

一方,農薬の作物残留に関する規制は,食品衛生法第11条第3項に規定されている。なお,食品添加物の作物残留については,食品衛生法第11条第1項及び第2項で規定されている。第11条第2項及び第3項には罰則があり,いずれも遵守義務となっている。食品衛生法で規制しているのは,流通している食品に含まれる農薬残留量であり,農産物にどのように農薬が使用されているかを規制してはいない。農薬使用については,先に説明した農薬取締法で規制されている。

なお,農薬等の作物残留規制でよく見聞きするポジティブリストやネガティブリストは,規制方法の違いを指すものであって特定の法律の規制方法を指すものではない。2003年の食品衛生法改正(2006年施行)の際に,食品中に残留する農薬,飼料添加物及び動物用医薬品(農薬等)について,一定の量を超えて農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止するポジティブリストが導入された。なお,食品添加物については,それ以前からポジティブリストによる規制が行われている。この点についても誤解している自治体職員(農業関係,保健関係)がいるので,正しく理解して欲しいところ。

以上の点については,農林水産省や厚生労働省,食品安全委員会,消費者庁から国民向けの様々な資料で,次のようなイラスト等で分かりやすく説明されているのだが,そうした資料はインターネットでも多く公開されているので,理解に自信のない自治体職員はそうした資料を精読して欲しい。
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以上について簡単にまとめると,次のようになる。
農薬取締法の規制対象:行為(農薬使用)に係る規制
→農薬の使用方法,農薬の販売・使用

食品衛生法の規制対象:モノ(食品)に係る規制
→食品への残留,食品の販売の制限

そのため,農薬使用基準違反だけど残留農薬基準値を超えていない場合は,農薬取締法の規制対象となるが食品衛生法の規制対象外となる。また,その逆もあり得る。

ここで概説した内容は,本来は職員研修できちんとレクチャーすべきなのだが,全国の普及指導センターではそうした研修は行われていないのではないだろうか。


<参考リンク>
農薬取締法
農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令
食品衛生法
ポジティブリストとネガティブリスト((一社)日本MOT振興協会)
食品衛生法における農薬の残留基準について(pdfファイル1.7MB,平成27年度食品に関するリスクコミュニケーションの厚生労働省資料)
ラベル:画像
posted by itoh at 18:22| Comment(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする