2017年11月28日

食品安全情報blogでのグリホサート剤レビューまとめ

2017年4月以降の食品安全情報blogのレビューから,グリホサート剤に関するレビューをピックアップ。

[CFIA]要約:2015-2016グリホサート検査

・WHOのIARCがんハザード機関:改革できるかあるいは無くすべきか?

[BfR]悪い雑草は高く育つ

・MITの研究者:グリホサートは2025年までに全ての子ども達の半分を自閉症にするだろう。はい、はい。

[BfR]グリホサートのリスク評価に関して新しい発見はない

[BfR]グリホサート:BfRは申請者のオリジナル研究を徹底的に審査・精察した

[BfR]グリホサート評価関連:BfRは盗用の告発を一蹴

[EFSA]グリホサート

・欧州のグリホサート議論に正気を取り戻す

・貪欲、嘘、グリホサート:Portierペーパー
・フランスの農家はグリホサートを支持し裁判に訴えるという
・除草剤の科学者はがんの弁護士から12万ポンドもらっていた


・グリホサートのレビューにおいて、WHOのがん機関は「発がん性はない」という知見は削除した

・IARCは米国議会科学委員会のグリホサートがん報告スキャンダルについて証言する要請を却下
・意見:「ツイッターラーチ(フォローワーの多い有名ツイッターユーザー)」がグリホサートの議論の論理をやじり倒している


[FDA]グリホサートに関するQ&A

[BfR]グリホサートの欧州での評価は品質保証された条件で独自に行われたものである

・WHOは農薬の都合の良いデータだけを選んだ、調査が発見
・IARCgate:IARCの長官Christopher Wildを辞めさせるべき6つの理由


・除草剤に含まれる化合物、グリホサートへの暴露が23年で増えた

・グリホサートゲート:IARCの科学的不正


[IARC]IARCはReutersの記事の虚偽の主張を却下する(「グリホサートのレビューにおいて、WHOのがん機関は「非発がん性」の知見を削除した」)

・グリホサートゲート:IARCの「あらかじめ決まっていた」がんの知見の政治と科学
・EUではグリホサートについて同意できない


・EUはグリホサートの使用を巡って分裂
・グリホサートと予防原則による規制の失敗
・CBCでフェイクニュース?誰がこのナンセンスにお金を払っている?


・グリホサートとがんについての専門家の反応

グリホサート関連
posted by itoh at 20:20| Comment(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2017年11月07日

図解でよくわかるシリーズ『農薬のきほん』と『病害虫のきほん』

農薬や病害虫防除など,植物防疫分野で初心者にも理解しやすくまとめられている書籍はないかと探していて,誠文堂新光社の「図解でよくわかる」シリーズのうち,『農薬のきほん』と『病害虫のきほん』を買って読んでみた。
よく書けていると感じた部分がある半面,この内容は問題だよなぁと感じた部分もあった。Amazon.co.jpの各書籍のレビューにも書いたことだが,万一削除されてもイヤなので,ここに再掲しておく。

寺岡徹 監修『図解でよくわかる農薬のきほん』誠文堂新光社
多少首を傾げる表現が散見されるものの,第1章から第3章までは,それなりに参考になる内容と感じた。しかし,第4章以降は,かなり問題のある内容だった。
第1章54ページできちんと農薬取締法に基づく農薬の定義を解説しているのだから,第4章以降で紹介している資材の多くが,無登録農薬の使用となる可能性が分かりそうなものだが,むしろそうした資材の使用を勧めている。
極めつけは,第5章118ページの内容。家庭菜園栽培において,衛生害虫対策用のスプレー式殺虫剤を農薬として使用することを勧めている。これは,無登録農薬の使用と見做される。例えばプランター栽培のような小規模栽培での農薬使用あっても,農薬取締法が適用されることを忘れてはいけない。
こんな使用方法を推奨する本を,決して他人に勧められない。

有江力 監修『図解でよくわかる病害虫のきほん』誠文堂新光社
同じシリーズの『農薬のきほん』よりはマシな内容と感じた。
それでも,以下のような不適切な内容が含まれている。
(1)70ページ上段本文7行目の「安全使用基準」との表記:2002年の農薬取締法改正の際,「農薬安全使用基準」は廃止され「農薬使用基準」が定められた。したがってここでは,「安全使用基準」ではなく「農薬使用基準」または「使用基準」と表記すべき。
(2)74~75ページの「ファンタジスタ」の取扱い:「ファンタジスタ」の成分ピリベンカルブは,ストロビルリン系QoI剤ではない。製造メーカーも説明しているが,ピリベンカルブはベンジルカーバメート系QoI剤。74~75ページでの「ファンタジスタ」の取扱いはストロビルリン系に含めてあり,間違った説明である。
(3)116ページ上段本文3行目の「化学物質」との表記:農薬取締法における農薬の定義は,化学物質に限定されない。化学物質以外の資材であっても,農薬効果(殺虫,殺菌,忌避,植調作用など)を期待して使用する場合は,すべて農薬と判断される。農薬として使用できるのは,特定農薬を除き,日本で農薬登録された資材のみ。もちろん,天敵,試薬,食品等の取扱いも同様。特定農薬の検討対象となっている資材は,116ページ解説のとおり。以上のことから,116ページの「化学物質」との表記は不適切である。
(4)120~123ページ:ここで紹介されている資材を農薬効果を期待して使用した場合,農薬取締法違反と判断される可能性があります。実際に判断するのは農林水産省ですが,誤解を招くような資材紹介は控えるべきでだろう。

監修者は日本農薬学会員(寺岡徹氏)や仕事でよく参考にする『植物病原アトラス』の共著者(有江力氏)と,いずれも専門家だと思うのだが,両氏とも細かく内容をチェックしたのだろうか。また,実際の執筆者が明記されていないのは,個人的に気持ち悪い。普通なら,監修者とは別に,執筆者一覧があって然るべきだろう。
posted by itoh at 22:15| Comment(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2017年10月09日

食品安全検定

2017年9月,食品安全検定の初級を受験し,合格した。

初級試験第1回か第2回を受験するつもりで公式テキストを購入して勉強していたのだが,受験申込みを忘れたり都合が悪かったりして,今回までズルズルと受験を先延ばしにしてしまっていた。その間,公式テキストを何度か読み返し,やや高いと思いつつ受験対策アプリ(基礎編)を買って時間があるときに解いていた。
前半の食品安全,食品添加物・農薬,食物アレルギー等については,今までの知識である程度対応できそうだったし,後半の食中毒起因微生物等についても既知の情報が少なくなかったので,初級なら合格できる自信はあった。確かに合格はしたのだが,実際に受験してみると,なかなか侮れないと感じた。初級の問題は5者択一(4者択一もあったかも)で,今回は誤っているものを1つ選ぶ問題が多かったように思う。文章の一部が誤っている問題も複数あり,知識のうろ覚えでは凡ミスを連発してしまうだろう。

テキストの内容は科学的根拠を基にまとめられており,リファレンスとしても活用できる。食品関係の民間資格や検定は,変な”自然信仰”や科学的根拠の乏しい内容が,あたかも正しいものとして取り上げられているように感じる。一方,食品安全検定はそうしたこともなく,適切な食品安全情報を身に付けるのに最適だと思う。食品製造業などの二次産業だけでなく,農畜産物生産現場である一次産業に従事している人にもお勧めする。

初級試験に合格したのに気を良くして中級の公式テキストを買ってみたが,初級とはかなりレベルが違った。初級テキストでは紹介程度だった一般的衛生管理プログラムやHACCPが具体的に解説されていたりと,たしかに”食品安全の現場リータ゛ー”,”食品安全管理の責任者”,”HACCPチームメンハ゛ーや内部監査員”を受験対象として想定されている内容だ。公式サイトに掲載されている「中級合格者の声」にもあるように,食品工場などで活用できる,かなり実務的な内容となっている。
中級試験を受験するかは,思案中。初級と違って,合格できる自信がない。

なお,食品安全検定はCBT方式を取っている。公式サイトでも説明があるように,受験申請の際に登録された最寄りの試験会場を選択し,試験会場ではパソコンを使っての回答となる。合否や点数が受験後その場ですぐに分かり,プリントアウトして貰える。合格証は後日郵送される。
posted by itoh at 17:36| Comment(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2017年09月02日

「津波災害痕跡の考古学的研究」

考古学分野で色々と学ばせていただいている,斎野裕彦氏の博士論文がいよいよ発刊されるようだ。
Amazon.co.jpなどネットショップでは,予約を受け付けている。
考古学に興味のない人でも,自然災害,特に津波被害について関心のある人は必読・必携の一冊となるだろう。

詳しい内容は本書を読まないと分からないが,タイトル名と斎野氏のこれまでの発表論文から推察するに,仙台市沼向遺跡や仙台市沓形遺跡で行われた自然科学分野と連携した詳細な調査結果を始め,仙台平野を中心とした歴史上の津波被害について,考古学視点から考察した内容となっていると思われる。また,考古学視点に留まらず,文献史学視点からの論文を発表されているので,そうした論考も含まれると思われる。もしかすると,第3回国連防災世界会議パブリック・フォーラムなどの内容から,近現代の津波被害についても取り上げられているかもしれない。

歴史上の津波被害痕跡の研究については,考古学分野,文献史学分野,自然科学分野など様々な立場から発表されているが,中には自説を強調したいがため,資料・史料解釈を歪曲しているのではと疑われるものもある。一方,斎野氏は,自身の専門分野である考古学資料であってもそのfactを慎重に吟味しており,そうした"fact"を積み上げた上で考察されているので,非常に説得力がある。文献資料解釈でも,文献史学研究者以上に慎重な史料批判を行っている。

今後の津波痕跡研究について,考古学分野はもちろん,文献史学分野や自然科学分野においても最良の調査研究マニュアルとなるのではないだろうか。


「津波災害痕跡の考古学的研究」
著者:斎野裕彦
出版社:同成社
出版年月日:2017年9月30日
ISBN:9784886217622
判型・ページ数:B5・256ページ
定価:本体9,000円+税
内容:東日本大震災を実体験した著者が、今後の防災を目的に、考古・文献・地質学などを駆使し津波災害痕跡の調査法とその分析法を提示する。
posted by itoh at 23:07| Comment(0) | 考古学 | 更新情報をチェックする

2017年07月02日

接ぎ木技術の起源は?

新約聖書に,次のような記述があるのを,今日初めて知った。
もしも,枝の中のあるものが折られて,野生種のオリーブであるあなたがその枝に混じってつがれ,そしてオリーブの根の豊かな養分をともに受けているのだとしたら,
(「ローマ人への手紙」第11章17節,新改訳第3版)

もしあなたが,野生種であるオリーブの木から切り取られ,もとの性質に反して,栽培されたオリーブの木につがれたのであれば,これらの栽培種のものは,もっとたやすく自分の台木につがれるはずです。
(「ローマ人への手紙」第11章24節,新改訳第3版)

「ローマ人への手紙」は,西暦60年頃に使徒パウロが書いたとされている。
この聖書の記述から,古代ローマ帝国において,
(1)オリーブに野生種と栽培種が存在していたこと,
(2)接ぎ木技術が行われていること,
(3)接ぎ木技術の特性が理解されていること,
が伺える。
なお,オリーブは,挿し木繁殖が比較的容易とされる樹種だが,古代ローマ時代,どのような目的でオリーブを接ぎ木していたのか,興味あるところだ。
posted by itoh at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする