2014年07月19日

よかたい先生

昨日ウッシーが学校から持ち帰ったプリントで,第60回青少年読書感想文コンクール課題図書の一つに,三枝三七子氏著書「ヒューマンノンフィクション よかたい先生 水俣から世界を見続けた医師 原田正純」が選ばれているのを知った。
水俣事件(水俣病問題)を知る上で,原田正純氏の著書を読む必要性を以前から感じていたが,多くの著書があり,どの文献を読むべきか悩み,結局今まで一つも読んでこなかった。本書であれば,私だけでなく,ウッシーの夏休みの読書感想文の課題としても良いと思い,昨日ネット注文した。
そして今日,たまたま立ち寄った書店で本書を見つけ,手にとって読んでみた。通常であれば,水俣病に関する書籍が私の住む書店に並ぶことは考えにくいためネット注文したのだが,第60回青少年読書感想文コンクール課題図書に選ばれたことから,店頭に置かれたのだろう。おそらく,全国の主な書店の店頭に並んでいるのではないだろうか。

著者の三枝三七子氏が行った,数年に亘る原田正純氏への取材を基に本書は書かれており,原田正純氏を通して水俣病を知るための入門書として,世代に関係なく読むことができる。
冒頭,原田正純氏が子どもの頃に体験した太平洋戦争の話から始まるのだが,これが原田正純氏が大人になって,水俣病を始めとする様々な国内外の公害問題と関わっていく原点であること,教育・政治・企業・戦争との奇妙奇天烈な関係が水俣事件を通して見えてくること,そうした問題提起がなされていると強く感じた。
これは,少し前から読み始めている林竹二著作集で,林竹二氏が,森有礼と学校教育問題や田中正造と足利鉱毒事件との繋がりの中で,何度となく問題提起しているものと全く同一であり,さらには昨今の様々な政治問題にも同質のものを感じる。

私は原田正純氏の事を多くは知らないが,本書を読んで,原田正純氏がどのような想いで水俣病み向き合ってきたのか,そしてどのような想いで「水俣学」を提唱されたのか,その原田正純氏の想いを垣間見ることができたと感じた。


<参考リンク>
よかたい先生
よかたい先生コミュニティ(facebook)
posted by itoh at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月14日

アゴラ言論アリーナ「放射線のリスクを科学的に考える」

中西準子氏が2014年7月8日の「言論アリーナ」に出演し,池田信夫氏と対談している。この様子は,YouTubeのagora labで視聴することができる。
この対談を視聴すると,中西氏著書「原発事故と放射線のリスク学」についてより理解が深まる。

「原発事故と放射線のリスク学」を読んでない人にも,また既に読んだ人にも,視聴することをお勧めする。
posted by itoh at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月13日

ネオニコチノイドと一部の鳥集団の減少の関連

食品安全情報blog2014年7月11日のレビューから引用。

・ ネオニコチノイドと一部の鳥集団の減少の関連−専門家の反応

SMC

Neonicotinoids linked to decline in population of some birds – experts respond

July 10th, 2014.

http://www.sciencemediacentre.co.nz/2014/07/10/neonicotinoids-linked-to-decline-in-population-of-some-birds-experts-respond/

Natureに発表されたオランダの研究で農地に住む鳥の集団が、ネオニコチノイド汚染が最も高いところで最も激しく減少していることを見いだした。英国SMCが以下のコメントを集めた。

CABI上級科学者Dave Moore博士

この論文は効果的な代用品の必要性を再び示した。生物農薬の開発費用を増やすのがよい

Bayer CropScienceの上級環境毒性学者Raimund Grau博士

著者らの仮説や結論は基本的に2013年にvan Dijkらが発表したものと同じである。引用されているイミダクロプリドの地表水中濃度についてのデータは既に最近のVijverと van der Brinkの論文で反論されている。さらにイミダクロプリドの測定やマクロ無脊椎動物のモニタリングは同じ場所でも時期でもない。先の報告はオランダの認可機関Ctgbでも評価され因果関係を示すのには使えないと結論されている。水の濃度が高いことが食糧不足につながるという主張には根拠がない。リストに掲載されている鳥のほとんどが水棲昆虫を主要食糧とはしていない。たとえばヒバリは主に地上に住む甲虫や蜘蛛等を食べ、ツグミはミミズやカタツムリを食べる。

他の要因の検討もなされていない。著者のうち2人は2010年に「気候変動のせいで食糧が減ったことが渡り鳥の減少の主要因かもしれない」と結論している。論文に強いバイアスがあるのは明白だ。ただしイミダクロプリドに影響がある可能性はある。

Oxford大学Charles Godfray FRS教授

この研究は重要な疑問を提示した。しかし著者らも言っているように関連を見たもので方法論等については議論があるだろう。よりしっかりしたデータが必要である。

このNatureに発表されたEditorialについては,日本でも一般紙が取り上げていた。
イミダクロプリド剤は,日本で上市されて20年以上経つが,農地や農地周辺で鳥類が激しく減少しているのだろうか。私の知っている農地でイミダクロプリド剤が使用されていたとは限らないが,私の印象として,畑地や園地での鳥害は近年増加傾向にあるように感じている。

いずれにせよ,Charles Godfray氏の言うように,よりしっかりしたデータに基づいた議論を望みたい。


<参考リンク>
イミダクロプリド農薬抄録(農水省ウェブサイト)
農薬評価書 イミダクロプリド(厚労省ウェブサイト,PDFファイル178KB)
posted by itoh at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月05日

「規制改革実施計画」への正しき批判

FOOCOM.NETに2014年7月2日付けで,「「新たな食品の機能性表示制度」の行方を憂慮する」と題した高橋久仁子氏のコラムがUPされた。
2013年6月14日に閣議決定された「規制改革実施計画」に盛り込まれた,いわゆる「健康食品」に機能性表示を認めることの問題点について,具体的事例を挙げながら指摘されている。
このコラムで高橋氏が指摘されている内容は,いずれも以前から高橋氏が著書等で指摘してきた内容である。高橋氏は,少なくとも20年以上前からこれらの表示等について問題提起されてきた。
残念ながら「規制改革実施計画」には高橋氏の問題提起は反映されず,
健康食品の機能性表示を、解禁いたします。国民が自らの健康を自ら守る。そのためには、適確な情報が提供されなければならない。当然のことです。
と主張する安部晋三政権の下,
世界で一番企業が活躍しやすい国の実現
のために,いわゆる「健康食品」の機能性表示を解禁しようとしている。

いわゆる「健康食品」の機能性表示を解禁することが,いかに「期待扇動商法」を助長するかを高橋氏は指摘されている。それが安部晋三氏によると,国民が自らの健康を自ら守る。そのためには、適確な情報が提供されなければならない。当然のことです。と読み替えることができるらしい。
少なくとも私には,どういう思考回路でこの安部晋三氏のような読み替えができるのか,理解できない。
きっと,私のような「愚民」には理解不能な理論に基づくものなのだろう。


なお,高橋久仁子氏は2014年3月末で群馬大学を定年退職され,現在,食品に関する情報の問題解決に寄与する組織の立ち上げに向けて活動されているとのこと,FOOCOM.NETの活動同様,応援していきたい。


<参考リンク>
平成25年6月5日安倍総理「成長戦略第3弾スピーチ」
posted by itoh at 10:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする