2009年06月01日

アイガモ農法

平成21年5月20日付け新農林技術新聞第1842号13面
浅野紘臣日本大学短期大学部生物資源学科教授
「アイガモによる除草作用の解明と環境負荷などの評価に関する研究(日本雑草学会業績賞)」から抜粋。

(1) アイガモの行動や食性と除草効果の関係
 早朝と薄暮に行動は活発。
 アイガモの放飼期間は40〜50日で,1日行動距離は推定7km。
 除草効果は,アイガモによる摂食も影響するが,アイガモの水かきによる土壌表層の物理的攪拌に伴う土壌コロイドの懸濁による遮光が大きく影響。
 アイガモの食性を調査すると,雑草のほかに昆虫(ウンカ・ツマグロヨコバイ・イネミズゾウムシなど)も摂食。

(2) アイガモ農法と米の食味およびその改善
 適正な放飼数を超えるとアイガモの糞(窒素分)が水稲の出穂期以降に作用し,玄米中のタンパク質含有量が高くなることが懸念される。
 アイガモ農法と慣行農法で栽培された米について食味試験を行った結果,標準的な食味試験では,アイガモ農法により栽培されたコシヒカリの総合評価は,慣行農法に比べて低く明らかに食味に差が認められた。一方,事前にパネラーに銘柄や栽培方法を示した食味試験においては,アイガモ農法で栽培された米の食味はほとんどの項目で評価が高くなった。

(3) アイガモの飼育と環境に対するインパクト
 アイガモに対する寄生虫について,秋田県から鹿児島県のまでの6府県のアイガモ農家に依頼し53検体を調査した。その結果,吸虫類3種,条虫類1種および線虫類2種が検出された。調査した6府県で寄生虫が未検出の地域はなかった。Epinostoma spなど人体感染する種類も検出された。
 アイガモが放飼された水田の田面水の水質と大腸菌群を調査したところ,慣行農法田に比べて1.4倍汚染されていた。水田の大腸菌群の多少は,アイガモの糞尿の多少にも関係するため,アイガモの放飼数や放飼期間については必要最小限が求められる。また,毒性をもつ大腸菌群の発生も十分考えられることから,アイガモの飼育管理には衛生面において十分配慮する必要がある。

(4) アイガモ農法の継続と雑草の推移
 アイガモ農法により,コナギ,キカシグサ,ミゾハコベは発生数が1〜2年で激減する。一方でアゼナおよびタマガヤツリは減少しにくい。また,チョウジタデは増加する。コナギ,オモダカなどはアイガモが好んで摂食する。

個人的には,慣行農法による米を食べたい。
病原性大腸菌群の感染リスクを,わざわざ高くする必要はない。
アイガモ農法による病原性大腸菌群の感染リスクよりも,除草剤を使用した慣行農法による残留農薬の健康リスクの方が小さいと考える。
posted by itoh at 18:06| Comment(1) | TrackBack(1) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トラックバックいただいた摂津国人氏から,本エントリーで取り上げた内容は,「米」の安全性とは関係ないのではとご指摘を受けた。
摂津国人氏のご指摘のとおりである。

改めて考えると,アイガモ農法のリスクとして考えられるものとして,アイガモ農法水田で作業する農業者の衛生管理(寄生虫の感染等)を挙げるべきだった。
Posted by itoh(元tahata) at 2012年07月23日 22:03
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/122884415
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

[雑記]リスク?
Excerpt:  がんさんのブログ「アグリサイエンティストが行く」で質問をさせていただき丁寧にお答えを戴きました。 >腸管出血性大腸菌の堆肥から植物体への移行について >http://gan-jiro.cocolo..
Weblog: はてなビックリマーク
Tracked: 2012-07-23 13:21