2011年06月10日

乳児ボツリヌス症

以前,乳児ボツリヌス症について取り上げたことがある。
蜂蜜との因果関係は有名で,厚生労働省の指導で1歳未満には与えないように指導されている。
最近,ふとしたことがきっかけで,蜂蜜以外の食品でも乳児ボツリヌス症の発症リスクがあることを知った。ネット検索で知り得た範囲で,次の食品が挙げられるようだ。

蜂蜜,黒砂糖,コーンシロップ,井戸水,野菜スープ(自家製)

私見だが,砂糖を含む甘味料については,精製度の低いものは発症リスクがあると考えられるようだ。

乳児ボツリヌス症は一般的なボツリヌス症と異なり,概ね1歳未満の乳児がボツリヌス菌芽胞を経口的に摂取し,腸内で菌が発芽・増殖し,産生した毒素により発症する。乳児は成人に比べ,腸内細菌叢が未発達であることや消化管が短いなど,腸の消化機能が未熟なためと考えられている。

ボツリヌス菌毒素は,100℃10分間で不活化する。しかし,ボツリヌス菌芽胞は,100℃数分間で加熱しても生き残ることがある。
「加熱しているから,自分の商品は乳児ボツリヌス症は大丈夫」としている黒砂糖のショップ等があるが,それは間違いであることが分かるだろう。
また,自家製の野菜スープ(野菜は市販のもの)が原因で,乳児ボツリヌス症を発症した例がある。ボツリヌス菌は土壌細菌で国内の土壌中に広く存在するため,農作物に付着している土壌からボツリヌス菌が感染する恐れがある。
井戸水は,宮城県の事例がある。この事例では,同一水源の他の井戸からはボツリヌス菌が検出されず,なぜ原因の井戸のみからボツリヌス菌が検出されたかは不明のままとなっている。

ボツリヌス菌は嫌気性菌であり,酸素のある状態では生育できない。そのため,缶詰,瓶詰め,真空パックなどでも問題となる。1984年熊本県で,辛子蓮根(熊本県の名産品のひとつ)が原因で死亡者が出た集団食中毒が起きたが,この時の商品は真空パックだった。


<参考リンク>
乳児ボツリヌス症(国立感染症研究所)
乳幼児の蜂蜜摂食の是非について(医薬品情報21)
自家製野菜ス-プが原因と推定された乳児ボツリヌス症(東京都微生物検査情報)
乳幼児に上げてはいけない食材,注意する食材(MOM)
【政府情報】 井戸水を原因食品とする乳児ボツリヌス症の報告について(健康危機管理支援ライブラリー)
井戸水を原因とした乳児ボツリヌス症の発生とその疫学的対応(pdfファイル,宮城県保健環境センター)
ボツリヌス症について(横浜市衛生研究所)
ボツリヌス菌(Wikipedia)
posted by itoh at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする
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