2011年09月13日

「エコリーダー」の誤った認識

2011年7月24日開催の第10回eco検定を受験し,合格した。
eco検定,受験者全てが公式テキストを利用するわけではないだろうが,それでも多くの受験者(第1~10回で200,000名が受験)が試験対策として利用するだろう。また,幾つかの大学では,講義のテキストや参考書として扱っているらしい。この公式テキスト,以前のエントリーで書いたように,内容には誤った説明があるなど,問題が複数ある。この点についてはいずれ指摘したいと思っているが,今回は関連本について取り上げる。

eco検定合格者(事務局ではエコピープルと呼んでいる)のスキルアップ事業として,「エコリーダー養成事業」なるものがあり,幾つかの分野を設定して(現在7分野),各分野毎にテキストの刊行や研修会の開催などを行っている。
その分野のひとつに食・農分野があり,テキストとして,「エコリーダー公式テキスト<食・農>エコリーダーになろう 農業・漁業編」と「エコリーダー公式テキスト<食・農>エコリーダーになろう 食育編」の2冊が,2011年3月に刊行された。そのうちの「食育編」を購入して読んでみたのだが,eco検定公式テキスト以上に問題が多い内容となっている。それを端的に表していると感じた部分を,次に引用する。
 この学習を経験した皆さんには,この成果を単に机上のものに終わらせるのではなく,ぜひとも「エコ」と「食」のために,何らかの行動を開始することを期待したい。
 「行動」といっても,決して大げさなものではない。まずは食品の表示を必ず確認し,素性が知れない,原産地のわからないような食べ物にはなるべく手を出さないこと,できれば,国産農産物・原料を使用したものか,なるべく住んでいるところに近い場所で生産された食材を購入すること,などである。これらは,自らのためになるばかりでなく,このような製品を支援することによって,市場環境を変えていこうという「消費者主権の行動」でもある。

(エピローグ190ページ,高橋巌(編集委員,日本大学生物資源科学部食品ビジネス科))

原産地表示は義務化されているため,「原産地のわからないような食べ物」の流通は違法行為と思われる。,国産農産物を選択することが,必ずしも二酸化炭素排出量を抑えることにはならないことがLCA分析から指摘されている。

本書を読んでいると,比較的バランスの取れた解説をしていると思われる章の多くは,国際機関や国の試験研究機関の職員が執筆している。一方,科学的な毒性評価を無視した農薬や食品添加物批判,地産地消や有機農業絶賛といった偏向的な内容の章の多くは,日本農業新聞などのJA関連機関や日本大学生物資源科学部関係の教員が執筆している。特に,編集委員の一人でもあるフリーライターの中村いづみ氏の担当章は,マクロビオテック礼賛や,LCA分析を一切取り上げず1章丸ごとフード・マイレージ礼賛に割いたりと,問題の多い内容となっている。
次に,中村いづみ氏の文章を一部引用する。
 また,作物に使われる農薬は,ミツバチやクモなどの昆虫を害し,地下水や河川,海に流れ出して広範囲にわたって生態系を破壊してしまう。
 このような汚染物質は食物連鎖を通じて高濃度に肉や魚を汚染し,やがてそれを人間が食べて健康のリスクが高まる。

(第2部第7章148ページ)

中村いづみ氏は,農薬の毒性評価を知らないか,全く信用していないようだ。
ちなみに中村いづみ氏は,「食べたい安全」(講談社)の共著者の一人らしい。
posted by itoh at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする
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