2020年07月03日

野菜から検出された細菌

農水省が調査・公表している資料からまとめたみた。
GAPの研修会等でよく引用されているデータ。
食中毒菌は検出されていないが,糞便系大腸菌は検出されている。

詳細は,次の農水省webページを参照のこと。
野菜の衛生管理に関する情報(農林水産省)


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2020年06月20日

本の記録

食品安全
(1) アラン・レヴィノヴィッツ「さらば健康食信和 フードファディズムの罠」2020
(2) 畝山智香子「ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想」2009
(3) 畝山智香子「「安全な食べもの」ってなんだろう? 放射線と食品のリスクを考える」2011
(4) 畝山智香子「「健康食品」のことがよくわかる本」2016
(5) 食品添加物はなぜ嫌われるのか 食品情報を「正しく」読み解くリテラシー」2020
(6) FAO「FAO食品・栄養シリーズ第87号 食品安全リスク分析 食品安全担当者のためのガイド」2008
(7) エリザベス・M・フェラン「創られた恐怖 発ガン性の検証」1996
(8) 唐木英明「牛肉安全宣言 BSE問題は終わった」2010
(9) 黒木登志夫「人はなぜガンになるのか」(暮しの手帖第3世紀25)1990
(10) 小城勝相ら「放送大学教材 食安全性学」2014
(11) 齋藤訓之「有機野菜はウソをつく」2015
(12) 作山 巧「食と農の貿易ルール入門 基礎から学ぶWTOとEPA/TPP」2019
(13) 佐々木 敏「佐々木敏の栄養データはこう読む! 疫学研究から読み解くぶれない食べ方」2015
(14) 佐々木 敏「佐々木敏の栄養データはこう読む! 疫学研究から読み解くぶれない食べ方 第2版」2020
(15) 佐々木 敏「佐々木敏のデータ栄養学のすすめ 氾濫し混乱する「食と健康」の情報を整理する」2018
(16) ジェームス・P・コールマン「天然モノは安全なのか? 有機野菜やハーブもあぶない」2003
(17) 食品安全委員会「食品安全 キッズボックス総集編」2014
(18) 食品安全委員会「いわゆる「健康食品」について」2015
(19) 食品安全委員会「食品の安全性に関する用語集(第5版)」2015
(20) 食品安全委員会「食べものについて知っておきたいこと 食品安全e-マガジン[読み物編]総集編」2016
(21) 食品安全検定協会「食品安全検定テキスト 中級 第2版」2018
(22) 食品安全検定協会「食品安全検定テキスト 初級 ―食の「安全」と「安心」をめざして―」2015
(23) 食品安全検定協会「食品安全検定テキスト 中級 ―食の「安全」と「安心」をめざして―」2014
(24) 食品の安全を守る賢人会議「食品を科学する 意外と知らない食品の安全」2015
(25) 新山陽子(編)「食品安全システムの実践理論」2004
(26) 新山陽子ら「放送大学教材 フードシステムと日本農業」2018
(27) 関澤 純「これ,食べたらからだにいいの? 食と健康-「安全」と「安心」のギャップをうめる」2010
(28) 宋 美玄ら「各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと」2016
(29) 高橋久仁子「「食べもの情報」ウソ・ホント」1998
(30) 高橋久仁子「食と健康Q&A チョットおかしな情報の見分け方・接し方」2002
(31) 高橋久仁子「「食べもの神話」の落とし穴 巷にはびこるフードファディズム」2003
(32) 高橋久仁子「フードファディズム メディアに惑わされない食生活」2007
(33) 高橋久仁子「「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する」2016
(34) 高橋 滋ら「食品安全法制と市民の安全・安心」2019
(35) 辻村 卓ら「野菜のビタミンとミネラル 産地・栽培法・成分からみた野菜の今とこれから」2003
(36) T・ジョスリングら「食の安全を守る規制と貿易 これからのグローバル・フード・システム」2005
(37) 中嶋康博「食の安全と安心の経済学」2004
(38) 中西準子「食のリスク学 氾濫する「安全・安心」をよみとく視点」2010
(39) 長村洋一「長村教授の正しい添加物講義」2015
(40) 成田崇信「乳幼児から高校生まで! 管理栄養士パパの親子の食育BOOK」2015
(41) 新山陽子(編)「食品安全システムの実践理論」2004
(42) パム・ロナルドら「有機農業と遺伝子組換え食品 明日の食卓」2011
(43) 船山信次「毒があるのになぜ食べられるのか」2015
(44) 船山信次「毒!生と死を惑乱 「薬毒同源」の人類史」2016
(45) 細貝祐太郎ら「食品衛生の歴史と科学 人はいかにして毒を知り食の汚染を防げるようになったか」2013
(46) 松永和紀「「食品報道」のウソを見破る 食卓の安全学」2005
(47) 松永和紀「踊る「食の安全」 農薬から見える日本の食卓」2006
(48) 松永和紀「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」2007
(49) 松永和紀「シリーズ地球と人間の環境を考える11 食品の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない」2010
(50) 松永和紀「お母さんのための「食の安全」教室」2012
(51) 松永和和紀「効かない健康食品 危ない自然・天然」2017
(52) マリオン・ネスル「フード・ポリティクス 肥満社会と食品産業」2005
(53) 村上道夫ら「基準値のからくり 安全はこうして数字になった」2014
(54) 山下一仁「食の安全と貿易 WTO・SPS協定の法と経済分析」2008
(55) レスター・ブラウン「フード・セキュリティー だれが世界を養うのか」2005

リスク
(56) アトゥール・ガワンデ「アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 重大な局面で”正しい決断”をする方法」2011
(57) 五十嵐泰正ら「みんなで決めた「安心」のかたち ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年」2012
(58) ウルリヒ・ベック「危険社会 新しい近代への道」1998
(59) 岡本浩一「リスク心理学入門-ヒューマン・エラーとリスク・イメージ-」1992
(60) 加茂将史「生態学と化学物質とリスク評価」2017
(61) 吉川肇子「リスクとつきあう 危険な時代のコミュニケーション」2000
(62) 木下冨雄「リスク・コミュニケーションの思想と技術 共考と信頼の技法」2016
(63) ゲルト・キ-ゲレンツァー「数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活 病院や裁判で統計にだまされないために」2003
(64) 佐藤健太郎「「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる」2012
(65) J.V.ロドリックス「危険は予測できるか! ―化学物質の毒性とヒューマンリスク―」1994
(66) ジェームズ・リーズン「組織事故」1999
(67) ジェームズ・リーズン「組織事故とレジリエンス 人間は事故を起こすのか,危機を救うのか」2010
(68) ジェラルド・J・S・ワイルド「交通事故はなぜなくならないか リスク行動の心理学」2007
(69) シドニー・デッカー「ヒューマンエラーを理解する 実務者のためのフィールドガイド」2010
(70) ジョン・F・ロス「リスクセンス-身の回りの危険にどう対処するか」2001
(71) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門1 リスク学とは何か」2013
(72) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門2 経済からみたリスク」2013
(73) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門3 法律からみたリスク」2013
(74) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門4 社会生活からみたリスク」2013
(75) 橘木俊詔ら(編)「新装増補 リスク学入門5 科学技術からみたリスク」2013
(76) ダン・ガードナー「リスクにあなたは騙される 「恐怖」を操る論理」2009
(77) 中谷内一也「リスクのモノサシ 安全・安心生活はありうるか」2006
(78) 中谷内一也「安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学」2008
(79) 中谷内一也「信頼学の教室」2015
(80) 西澤真理子「リスクコミュニケーション」2013
(81) 西澤真理子「「やばいこと」を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション」2017
(82) 西澤真理子「リスクを伝えるハンドブック 災害・トラブルに備えるリスクコミュニケーション」2018
(83) 芳賀 繁「事故がなくならない理由 安全対策の落とし穴」2012
(84) 林 裕造ら(監訳)「リスクコミュニケーション 前進への提言」1997
(85) バルーク・フィッシュホフら「リスク 不確実性の中での意思決定」2015
(86) 久松達央「キレイゴトぬきの農業論」2013
(87) ロバート・マイヤーら「ダチョウのパラドックス 災害リスクの心理学」2018

行動経済学
(88) 佐藤雅彦ら「行動経済学まんが ヘンテコノミクス」2017
(89) ダニエル・カーネマン「ファスト&スロー あなたの意志はどうのように決まるか? 上」2012
(90) ダニエル・カーネマン「ファスト&スロー あなたの意志はどうのように決まるか? 下」2012
(91) ダン・アリエリー「予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」2013
(92) ダン・アリエリー「アリエリー教授の「行動経済学」入門」2017
(93) ハンス・ロスリングら「FACT FULNESS 10の思い込みを乗り越え,データを基に世界を正しく見る習慣」2019
(94) リチャード・セイラーら「実践行動経済学-健康,富,幸福への聡明な選択」2009
(95) ロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器[第三版]-なぜ,人は動かされるのか」2014

マネジメント
(96) 佐々木眞一「自工程完結 品質は工程で造りこむ」2014
(97) 佐々木 眞一監修「トヨタ公式 ダンドリの教科書」2016
(98) 鈴村尚久「トヨタ生産方式の逆襲」2015
(99) P・F・ドラッカー「はじめて読むドラッカー【自己実現編】プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ,成長するか」2000
(100) P・F・ドラッカー「はじめて読むドラッカー【マネジメント編】チェンジ・リーダーの条件 みずから変化をつくりだせ!」2000
(101) P・F・ドラッカー「はじめて読むドラッカー【社会編】イノベーターの条件 社会の絆をいかに創造するか」2000
(102) P・F・ドラッカー「【エッセンシャル版】マネジメント 基本と原則」2001
(103) P・F・ドラッカー「はじめて読むドラッカー【技術編】テクノロジストの条件 ものづくりが文明をつくる」2005

放射能
(104) 安斎育郎「[増補改訂版]家族で語る食卓の放射能汚染」2011
(105) 菊池 誠ら「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」2014
(106) 北村美遵「地球はほんとに危ないか? 真説・環境問題入門」1992
(107) 田崎晴明「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」2012
(108) 中西準子「リスクと向きあう 福島原発事故以後」2012
(109) 中西準子「原発事故と放射線のリスク学」2014

環境全般
(110) アン・ナダカブカレン「地球環境と人間 21世紀への展望」1990
(111) 宇井 純「公害原論 Ⅰ」1971
(112) 宇井 純「公害原論 Ⅱ」1971
(113) 宇井 純「公害原論 Ⅲ」1971
(114) 宇井 純「公害原論補巻Ⅰ 公害と行政」1974
(115) 宇井 純「公害原論補巻Ⅱ 公害住民運動」1974
(116) 宇井 純「公害原論補巻Ⅲ 公害自主講座運動」1974
(117) 宇井 純「キミよ歩いて考えろ」1979
(118) 宇井 純「公害自主講座15年」1991
(119) 宇井 純「宇井純セレクション1 原点としての水俣病」2014
(120) 宇井 純「宇井純セレクション2 公害に第三者はない」2014
(121) 宇井 純「宇井純セレクション1 加害者からの出発」2014
(122) 菊池 誠ら「もうダマされないための「科学」講義」2011
(123) 小島正美「誤解だらけの「危ない話」 食品添加物,遺伝子組み換え,BSEから電磁波まで」2008
(124) 小島道一「リサイクルと世界経済 貿易と環境保護は両立できるか」2018
(125) 左巻健男「ニセ科学を見抜くセンス」2015
(126) J.リロンデルら「硝酸塩は本当に危険か―崩れた有害仮説と真実」2007
(127) 武田計測先端知財団編「選択 -リスクとどう付き合うか-」2009
(128) 名取宏「医師が教える最善の健康法」2019
(129) NATROM「「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法,健康法から身を守る!」2014
(130) 中西準子「都市の再生と下水道」1979
(131) 中西準子「水の環境戦略」1994
(132) 中西準子「環境リスク論 技術論からみた政策提言」1995
(133) 中西準子「環境リスク学 不安の海の羅針盤」2004
(134) ビョルン・ロンボルグ「環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態」2003
(135) 水俣病公式確認五十年誌編集委員会「水俣病の50年 今それぞれに思うこと」2006
(136) レイチェル・カーソン「沈黙の春」2001

農薬関係
(137) 梅津憲治「農薬と食の安全・信頼~Q&Aから農薬と食の安全性を科学的に考える~」2014
(138) 鈴木啓介「安全食品 農薬を知ろう!」2004
(139) 日本植物防疫協会「農薬取締法令・関連通達集」2007
(140) 日本植物防疫協会「農薬作用機構分類一覧」2013
(141) 日本植物防疫協会「農薬概説 2019」2019
(142) 平野千里「原点からの農薬論 生き物たちの視点から」1998
(143) 福田秀夫「農薬に対する誤解と偏見」2000
(144) 福田秀夫「続 農薬に対する誤解と偏見」2004
(145) 宮本純之「反論! 化学物質は本当に怖いものか」2003

その他
(146) 有本健男ら「科学的提言 21世紀の科学技術と政策形成」2016
(147) 神門善久「日本の食と農 危機の本質」2006
(148) 熊倉功夫「NHKテキスト こころをよむ 和食という文化」2020
(149) 吉田企世子(監修)「女子栄養大学 栄養のなるほど実験室 調理によって栄養はどう変わるか」2019
(150) ルトガー・ブレグマン「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」2017

【番外(反面教師)】
(151) 安部 司「食品の裏側 みんな大好きな食品添加物」2005
(152) 河北新報社編集局「無登録農薬はなぜつかわれた 豊かさの死角」2004
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2020年06月07日

畝山智香子氏「食品添加物はなぜ嫌われるのか」

畝山智香子氏の新著「食品添加物はなぜ嫌われるのか 食品情報を「正しく」読み解くリテラシー」が刊行された。
一般書としては4冊目で,畝山氏曰く,2009年に刊行された「ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想」続編のようなもの,とのこと。
タイトルに「食品添加物」とあるが,目次からも分かるように,食品添加物に関する話題を皮切りに,広く食品安全に関する内容となっている。

目次
第1章 終わらない食品添加物論争
第2章 気にすべきはどちらか-減塩と超加工食品
第3章 オーガニックの罠
第4章 新しい北欧食に学ぶ
第5章 国際基準との軋轢
第6章 食品表示と食品偽装
第7章 プロバイオティクスの栄枯盛衰
第8章 食品安全はみんなの仕事-すべての人に適切な情報を

畝山氏の著書は,いずれも分かりやすく読みやすい文章で書かれている。
そうした読みやすい文章の中にも,厳しい指摘があちこちにみられる。
本書冒頭で,回転ずしチェーンの「無添加」への取組を批判的に取り上げているが,行政に対しても容赦ない。
基準には意味があり時代背景があります。(略)規制担当者や政策決定者などは意味を理解し説明できるべきでしょう。(31-32ページ)
伝統を守るためなら国民の健康がよいといった言説は,私たちの健康にとって有害無益です。伝統を守るためなら国民の健康は多少犠牲になってもよいなどという政策は許容できません。私たちや子どもたちのこれからの生き方がやがて伝統になるのだから,より健康的でより持続可能になるよう改善していくべきだと思います。(85ページ)
政府が国民向けに何かをするように勧める場合,その助言に根拠があるのはもちろんですが他の助言と矛盾しないように,日常生活の中で実行可能かどうかも検討するのが普通です。(94ページ)
安全な食品を流通させるという公衆衛生の努力は,もっとも弱い人たちを守るためのものなのですが,政治の世界では声の大きい人たちに負けてしまう場合があるのが残念です。(116ページ)
本来消費者庁は消費者のために,シンプルでわかりやすい表示をめざすべきなのですが,現実にはそうはなっていないのが残念なところです。(195ページ)
(機能性表示食品制度に対して)世界的にはより厳密な科学的根拠を要求する傾向にある中で,必要な科学的根拠のハードルを下げるという逆方向の施策です。(218ページ)


私は歴史学,特に考古学に興味を持っており,専門書を読んだり学会やシンポジウムに参加してきた。そうした経験から,「文化」は固定化されたものではなく,常に変化していくものだと考えている。
一方,特に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降,定義も曖昧な「和食」を文化として守っていこうと官民挙げて騒いでいる様子は,滑稽でならない。
その多くは,「和食」を口実とした産業振興でしかないように映る。少なくとも,行政組織は完全に「和食」を予算獲得の言い訳にしている。また,「食文化」を口実に食品安全を軽視することにも同意できない。
こうした点に関連して,畝山氏の次のような意見に大きく首肯する。
伝統を守るためなら国民の健康がよいといった言説は,私たちの健康にとって有害無益です。伝統を守るためなら国民の健康は多少犠牲になってもよいなどという政策は許容できません。私たちや子どもたちのこれからの生き方がやがて伝統になるのだから,より健康的でより持続可能になるよう改善していくべきだと思います。(85ページ)
私たちの生活は文化を守るためにあるのではなく,私たちがよりよく生きていくために工夫した結果が,文化になるのだと思います。(93ページ)
現時点では「和食」を日本人にとって健康的で理想的な食生活だと自信をもって勧めることはできません。自国民に勧められないものを海外に宣伝するのはさらに躊躇われます。(128ページ)


本書を読んでいて,"これは農業分野でも同じ問題があるなぁ"と感じた点が幾つかあった。
その1つが,オーガニック農場で生産された卵から殺虫剤成分フィプロニルが検出された欧州や韓国での事件。
詳細は本書を読んでいただきたいが,その背景が2002年に日本全国で問題となった無登録農薬問題と全く同じ。そう思いながら読んでいたら,畝山氏も全く同じことを述べられていた。
もう1つが,「食品だから安全」「安全性が確認されているから食品添加物は安全」と安易に考えて目的外使用を行い,却って危ない行為になってしまうという点。畝山氏は,次のように述べられている。
食品添加物として認められている物質を食品添加物として認められている使用条件で使うなら安全なのです。食品だから安全なのではなく,食品として全体的に健康的な食生活の一部として適切に食べれば安全ということと同じです。(56ページ)
こうした考えは農業分野でもあって,「食品或いは食品添加物だから,農薬の代替資材として安心して使える」という発想の下,怪しげな資材業者が怪しげな資材を販売したり,農業者が自己判断で食品を農業資材として使用することがある。もし農薬として使用するなら,仮に食品や食品添加物であっても,特定農薬及び特定農薬として検討中の資材以外は無登録農薬と見做される可能性が高い。
経口摂取して安全だからといって,吸入や経皮曝露でも安全とは限らない。
食品添加物を有効成分とする登録農薬があるが,それらはきちんと安全性評価されていて,SDSも公表されている。
こうした安易な使用方法を,「農業者の創意工夫を潰すもの」と批判的に取り上げる出版社等があるが,それは明らかに間違った認識で,農業者の健康被害や周辺環境汚染に繋がる可能性があることを,十分理解する必要がある。

見方は様々だとは思うが,一般に現在の日本は多くの面で安全性が向上しており,食環境を含め住みやすい住環境になっていると思う。そうした環境に慣れてしまうと,以前は危険視されて様々な対策が取られてきた場面において,回りまわって過去に危険視されていた行為を良かれと思って行ってしまうことがあるようだ。これは日本に限らず,欧米など,いわゆる先進国と称される国々で同様にみられるらしい。
そうした点についても,第2章や第3章など複数の箇所で,取り上げられている。
先進国では衛生水準の向上や医療の進歩のおかげで,感染症でたくさんの人が病気になっていた時代のことが忘れられて,食品は安全なのが当たり前だと考える人たちが増えています。(115ページ)
自然をよく知らないからこそ自然は素晴らしいとか食品のことはよくわかっている,などと言えるのでしょう。(135ページ)


最終章で畝山氏は,食品安全を確保するためのポイントを次のように述べられている。
生産者から消費者一人一人までが責任をもって役割を果たさないと食品安全は確保できません。(226ページ)
これは「コーデックス食品衛生の一般原則」や「食品安全基本法」の基本理念に通じるものである。
posted by itoh at 18:45| Comment(2) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2020年05月01日

100%オンラインでのHACCP3日間研修!

私がHACCPトレーニングでお世話になっている(一社)日本HACCPトレーニングセンター(JTHC)では,昨今の新型コロナウイルス感染拡大による集合研修困難な状況を受けて,新たな展開を行っている。
それが「100%オンラインでのHACCP3日間研修」となるHACCPコーディネーターワークショップの開催。
もともとJTHCのHACCPコーディネーターワークショップは,研修1日目に該当する基礎学習をe-learningで行っていて,集合研修は2日間となっていた。
それを,昨今の状況を前向きに捉え,Zoom+Google Drive+PCを使ってのオンラインワークショップとして再構築。
第1回を先月末に1グループを対象に開始し,無事終了したとのこと。
私自身はそのワークショップに参加したわけではないので詳細は分からないが,とても興味深い取組だと思う。

現在の状況では当面は集合研修を受講するのは難しいと思われるので,JTHCのHACCPコーディネーターワークショップ100%オンライン版の受講を検討してみてはどうだろうか。
posted by itoh at 22:47| Comment(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2019年10月12日

HACCP制度化のメモ

2018年6月13日,改正食品衛生法公布。

Codex準拠HACCPの制度化(これまでは,ガイドライン)。
施行は2020年6月1日。施行後1年間は経過措置期間。2021年6月1日から完全施行。

HACCP制度化は,法第50条の2が該当。
法第50条の2違反は,,営業許可の取り消し,又は営業の全部若しくは一部を禁止し,もしくは期間を定めて停止。(法55条)
法55条の規定に違反して営業を行った場合,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。懲役及び罰金の併科あり。(法71条)

HACCP制度化により,食品等事業者(注)は,衛生管理された農場から原材料を調達することが求められる。
(注)食品等事業者:食品を製造,加工,調理,貯蔵,運搬,販売等を行う事業者。卸売市場なども含まれる。

「衛生管理された農場」=「GAPに取組んでいる農場」なので,食品衛生法上,食品等事業者は,GAPを実施している農場からの原材料調達が求められる。

食品衛生法でHACCP制度化となったことで,GAPの取組は,国内市場で生き残るための最低条件となる。

食品衛生法では,GAP認証までは求めていない。→でも,GAP農場からの仕入れをどうやって証明する?


<参考>
食品衛生法(抜粋)

第50条の2 厚生労働大臣は,営業(器具又は容器包装を製造する営業及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第2条第5号に規定する食鳥処理の事業(第51条において「食鳥処理の事業」という。)を除く。)の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置(以下この条において「公衆衛生上必要な措置」という。)について厚生労働省令で,次に掲げる事項に関する基準を定めるものとする。
1 施設の内外の清潔保持,ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理に関すること。
2 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(小規模な営業者(器具又は容器包装を製造する営業者及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第6条第1項に規定する食鳥処理業者を除く。次項において同じ。)その他の政令で定める営業者にあっては,その取り扱う食品の特性に応じた取組)に関すること。
営業者は,前項の規定により定められた基準に従い,厚生労働省令で定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め,これを遵守しなければならない。
都道府県知事等は,公衆衛生上必要な措置について,第1項の規定により定められた基準に反しない限り,条例で必要な規定を定めることができる。

第55条 都道府県知事は,営業者が第6条,第8条第1項,第10条から第12条まで,第13条第2項若しくは第3項,第16条,第18条第2項若しくは第3項,第19条第2項,第20条,第25条第1項,第26条第4項,第48条第1項,第50条第2項,第50条の2第2項,第50条の3第2項若しくは第50条の4第1項の規定に違反した場合,第7条第1項から第3項まで,第9条第1項若しくは第17条第1項の規定による禁止に違反した場合,第52条第2項第1号若しくは第3号に該当するに至つた場合又は同条第3項の規定による条件に違反した場合においては,同条第1項の許可を取り消し,又は営業の全部若しくは一部を禁止し,若しくは期間を定めて停止することができる。
(省略)

第71条 次の各号のいずれかに該当する者は,これを3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
(省略)
3 (省略)又は第55条(第62条第1項及び第3項において準用する場合を含む。)の規定による処分に違反して営業を行つた者
前項の罪を犯した者には,情状により懲役及び罰金を併科することができる。
posted by itoh at 18:09| Comment(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする