2017年06月04日

イオンは,“放射性物質ゼロ”を放棄していない

2017年5月26日から東北のイオングループで福島県南相馬市産の小ねぎの取扱いを始めたとのことで,イオングループの“放射性物質ゼロ”方針が転換されたかのような話をたまに見かけるが,少なくともイオン株式会社の公式ウェブサイトを見る限り,そのようなことはないようだ。
イオン(株)公式ウェブサイト「放射能・放射性物質 関連情報」には,次のような記載がある。
お客さまが安心して生鮮品を食することができるには、イオン1社の取り組みでは不十分であり、放射性物質“ゼロ”の商品を流通させる仕組みを官民一体となって構築していく必要があると考えています。

同ページの更新情報では,2017年5月31日付けの書込みがあるので,2017年5月26日以降も先に引用した方針を変えていないと思われる。
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2017年06月02日

「aff」って,そんなもの

FOOCOM.NETで,農水省広報誌「aff」を批判的に取り上げている。
「aff」が提供する情報のすべてを否定するつもりはないが,uneyama氏の食品安全情報blogでも,たまに批判の的になっている。松永和紀氏の憤りはよく分かるが,「aff」って,その程度の広報誌だと以前から思っている。

農水省や地方自治体共通で言えることだと思うが,産業振興部門と規制部門の言い分が180度異なるのは日常茶飯事で,これも珍しくない。産業振興部門にしてみれば,いかに予算確保するかそのためのプロパガンダに利用しているだけで,深く考えているわけではない。また,自分たちに都合の悪い情報を無視する。そうした事例は,本blogでも,農産物の機能性成分に注目した事業について批判的に取り上げている。

行政組織がこんなことを言ってるから信用をなくすのだと思うけど,中の人たちにとっては,そうしたことは気にしないのだと思う。

で,「aff」なんかでこんな形で取り上げると,それを読んだ地方自治体の幹部連中が,好意的に受け止め,地方行政の場にも非科学的根拠に基づく施策がまかり通るんだよね。
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2017年05月22日

「食品の安全な使用」の指針

少し前に報道された乳児ボツリヌス症に関連して,次の2つの優れた情報がネットで公開されている。

・ 蜂蜜だけではない。乳児に食べさせるときに注意すべき食品は、これだけある
・ 食品安全情報(化学物質)No.10(2017.05.10)別添/食品の安全な使用についての一般的な取扱説明書(フィンランド食品安全局)(PDFファイル)

また,厚生労働省から示されている「授乳・離乳の支援のポイント」(2007年3月)の「3離乳編」の中でも,「離乳の支援のポイント(41ページ~)」として注意点が詳しく解説されている。

これらの資料は,「食品の安全な使用に関する」信頼性の高い情報である。
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食品安全のための科学的国際協力の未来には何があるのか

2017年4月26日,食品安全委員会主催国際専門家招へいプログラム「国際会議~食品安全のための科学的国際協力の未来には何があるのか~」に参加してきた。
当日の資料と会議で示された結論が食品安全委員会ウェブサイトで公開されているので,詳しくはそちらを参照いただきたい。
ここでは,私がメモしたコメント等を書き出しておく。

Paul Chiew King Tion(ARAC科学委員会委員長)
グローバル化の現在において,すべてを規制するのは無理。
リスク評価の方法は,まだ各国で違いがある。
リスクコミュニケーションでは,分かりやすく説明する必要がある。また,ゼロリスク要求に対して,どのようにリスク受容を説明するのかが重要。

Reiner Wittkowski(BfR副所長)
リスクコミュニケーションが特に重要。
食の多様性は尊重しつつ,安全性をハーモナイゼーションすべき。

Guilhem de Seze
科学的なメッセージを出すことが重要。

Patrick Deboyser(ASEAN欧州連合代表部保健及び食品安全担当公使参事官)
教育の向上が重要,特に開発途上国において。
規制する場合でも,きちんと説明し理解してもらう必要がある。
リスク認識・・・例:タバコ

Roger Genet(ANSES長官)
社会科学分野のすべてを取り込んでディスカッション(リスクコミュニケーション?)すべき。

Bernhard Url(EFSA長官)
産品の輸出入は進んでいるが,それに関連するデータや知識の共有は立ち遅れており,各国間で齟齬が出ている。
Scienceは社会に受け入れられなければ意味がない。GMOが好例。Scienceとしては安全性が評価されているが,今のEUでは,信念でGMOを受け入れないと決めた。
ステークホルダー間での共有理解が必要。
政策立案の時にも正しい提案が必要。
各機関の間で,お互いを真に信頼する必要がある。
科学は真実を示すものではなく,真実を近似値で表すもの。


会場からの質問で,「エクポージャー(exposure)」の概念も重要との意見があった。私は不勉強のため,「エクポージャー(exposure)」が具体的にどういう内容を示すのかよく分からなかった...。
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2016年11月06日

核災害後の公衆衛生:放射線リスクを超えて(WHO紀要Vol.94から)

2016年11月2日食品安全情報blogのレビューで、WHO紀要Vol.94から「核災害後の公衆衛生:放射線リスクを超えて」が紹介されていた。食品安全情報blogでは、同様の論旨の論文等が度々取り上げられている。
とても重要な内容なので、レビュー全文を引用する。
括弧内はuneyama氏のコメント。
最後に紹介されているURL先の記事も、とても素晴らしい内容となっている。是非とも一読していただきたい。
Bulletin of the World Health Organization
Volume 94, Number 11, November 2016, 785-860
http://www.who.int/bulletin/volumes/94/11/en/

核災害後の公衆衛生:放射線リスクを超えて
Public health after a nuclear disaster: beyond radiation risks
Claire Leppold, Tetsuya Tanimoto & Masaharu Tsubokura
http://dx.doi.org/10.2471/BLT.15.168187
(筆頭著者のClaire Leppoldは南相馬市立総合病院 研究者)

日本の三重の災害から5年、災害後の福島県の健康についての簡単な概要を伝える

災害後放射線のリスクが注目されたが放射線による死亡や急性健康影響は報告されていない。2015年に発表された甲状腺がんの報告は科学コミュニティから批判されたが一般の人々全てには届かず、医療の専門家すら混乱している。放射線に関する議論が放射線以外の被害への無視につながっている。事故後の強制的避難と福島への社会的スティグマが健康に大きな影響を与えた。1986年のチェルノブイリ事故でも最も深刻な健康被害は精神衛生上の負担だった。福島も同じである。内部被曝がほとんどないのに比べて非伝染性疾患や精神衛生上の負担はあまりにも大きい。特に高齢者で顕著である。放射線暴露を減らすための避難と生活環境の変化は包括的リスク評価無しには正当化できない。福島から学ぶことはまだ多い。

(この人
福島と、「知る」という技術
http://www.huffingtonpost.jp/claire-leppold/fukushima-and-the-art-of-knowing_b_10538826.html
結局チェルノブイリの教訓は福島で生かせていない。ただこういう人が来て発信していることはとても素晴らしい。旧ソ連と違って情報は開示されている。)
posted by itoh at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする