2016年07月17日

高橋久仁子氏『「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する』

高橋久仁子氏の新著書『「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する』を読了した。
本書で指摘されていることは、高橋氏の今までの著書で述べられている点と同じだが、今回は、トクホや機能性表示食品など、近年の新しい国の制度に焦点を絞っているところが特徴的。
結論としては、次の記述に要約される。
栄養水準も衛生・医学水準も高いこんにちの日本では、世界に誇る長寿社会です。この恵まれた生活環境のもと、おいしいものを楽しく適度な量で食べ、身体を十分に動かし、休息する日々の暮らしに、「健康食品」が入り込む余地などない
(本書80ページ)

本blogでも何度が触れているが、「健康食品」に群がって利益を得ようとする人々の中に、今や政府・地方自治体等の公共機関も含まれている。トクホや機能性表示食品制度を作ったのは日本政府だし、そうした制度を利用して地元産品の販売促進を狙っているのが中央省庁・地方自治体である。科学的根拠が乏しいか無いに等しいものを根拠として、行政組織は何をしようとしているのか、また国民をどこに向かわせようとしているか、もう一度、地方自治法の次の条文の意味をかみしめる必要があろう。
第1条の2第1項 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。

私は、こうした"怪しげな"モノで国民を振り回すエネルギーを、OECD加盟国の中でも目立っている、子どもの貧困対策に振り向けるべきだと思う。


※国際機関の経済協力開発機構(OECD)「2015年度版の幸福度調査」によると、日本の子どもの貧困率は15.7%。OECD平均13.7%で、日本は加盟国(36か国)中11番目に高い。
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2016年07月10日

穀物の発芽の有無で栄養上の違いはあまりない

1か月程前だが、2016年6月6日の食品安全情報blogのレビューに、「発芽穀物はより健康的?」というものがあった。
これは、カリフォルニア大学バークレー校の「Berkeley Wellness」掲載記事のレビュー。日本でも、発芽穀物が健康に寄与するとして取り上げられているが、このレビューによると、栄養上、種子そのものと発芽穀物とに大きな違いはないとのこと。

発芽によって毒性物質が産生される場合があるので、強いて発芽穀物を食べる必要性はないだろう。

発芽穀物ではないが、近年、チアシードがちょっとした流行になっているようだが、食習慣の乏しい食品を取り入れるには、もう少し慎重になった方が良い。種子をそのまま食べる、というより飲み込むような摂取の仕方で、どれほどの効果があるのか疑問。仮に、食品として摂取して劇的な効果が認められるのであれば、過剰摂取による健康被害に注意した方が良い。

ちなみに、"安全なチアシード"として無農薬栽培やオーガニック栽培されたものを推奨している情報もあるようだが、食品の安全性と栽培方法は関係ない。
posted by itoh at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2016年03月08日

東日本大震災から5年

東日本大震災から今週末で5年になるが、国内外で様々な震災関連の情報が発信されている。
国内メディアから発信される情報は、私の個人的な印象ではほとんど"使えない"内容。一方、海外で発信されている情報には、首肯するものが幾つかある。
いずれも食品安全情報blogでレビューされているものだが、次の2点を挙げておきたい。

Scienceの今週号は福島特集
メルトダウンから5年後、福島近くに住むのは安全か?(リンク先4番目のレビュー)

二つ目のリンク先で取り上げられた高校生の取り組みについては、国内メディアでも紹介されていた。こうした科学的知見に基づく情報発信がなぜ大人にできないのか、素朴な疑問だ。
posted by itoh at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

2016年01月30日

いわゆる「健康食品」に関する説明会

食品安全委員会主催『いわゆる「健康食品」に関する説明会』に参加した。
食品安全委員会主催説明会は初参加だったが、参加者との質疑応答時間が1時間あり、色々な意見を聞くことができた。

様々な立場の意見があった中で共通して指摘されていたのは、「リテラシー教育の必要性」だったのではないかと思う。
きちんとした品質の製品を提供するのは当然だし、「健康食品」を利用するのであれば利用者各々に合った適切な使い方で用いられるべきなのも当然なのだが、そのことが為されていない。そもそも、多くの人たちには「健康食品」は必要ないものであることは、幾つかの科学的レビューから明らか。
ただ、そうした様々な情報が消費者にきちんと伝えられていない。消費者自身、そうした情報を見聞きしても、それを理解するための基礎知識が乏しいのもまた事実。

「健康食品」に限らず、リテラシー教育の必要性が数年前から指摘されているものの、大きな動きにはなっていないのが残念。昨年末の食品安全委員会の「健康食品」に関する提言をキッカケに、食の安全に関するリテラシー教育が広がることを期待したい。
posted by itoh at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする

ダイエタリーサプリメントに対する考え方

「健康食品」について、昨年末に食品安全委員会から提言が出されたが、リスク評価機関の提言をリスク管理機関がどう受け止めて運用していくのか、そこが大きな問題だと思う。だからといって、何も情報発信しなくて良いというわけではないので、今回の食品安全委員会の提言は、国政レベルでこうした情報発信していくんだという、新たな局面にもなったのかなと思っている。
そう思っていたら、今週の食品安全情報blogで、ダイエタリーサプリメントについてのレビューが幾つかあった。
■[FDA]消費者を安全でないサプリメントから守ることに前進
ダイエタリーサプリメント:さらなる怖いニュース(3番目のレビュー)
先に私なりにレビューしたuneyama氏の新著書と併せて、ぜひ読んで欲しい。
posted by itoh at 11:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | 更新情報をチェックする