2015年07月21日

コメに含まれる無機ヒ素の健康リスク

食品安全情報blog2015年6月22日及び24日レビューに、コメに含まれる無機ヒ素に関するBfRのレビューが4本紹介されている。

コメとコメ製品には高濃度の無機ヒ素が含まれる
コメとコメ製品のヒ素
コメとコメ製品のヒ素についてのQ&A
乳幼児や子どもを守るための摂取量助言によるコメとコメ製品中無機ヒ素の追加EU最大基準

コメに含まれる無機ヒ素の健康リスクについては、以前から、食品安全情報blog等で広く指摘されている。上記のレビューでも、
無機ヒ素の発がん性についてはリスクの増加と関連しない安全な摂取量は設定できないので、食品中の無機ヒ素化合物の量はできうる限り最小にすべき(ALARA)と考える。

と指摘されている。ただし、次のようなコメントも示されている。
しかしながらコメはバランスの取れた食生活の一部であり続けるべきである。食品を選ぶときには、消費者は多様で幅広い食生活をするようにという一般的助言に従うべきで、可能であれば穀物の種類をいろいろなものにすべきである。

農林水産省(地方自治体やJAグループ)のコメ消費拡大プロパガンダとは、全く逆の指摘であることに留意すべきだろう。
また、乳幼児のリスク軽減として、次の点が指摘されている。
保護者には、乳児や子どもに、ライスケーキやコメ粥/ライスフレークのようなコメベースの製品のみを与えないように、そうではなく他の種類の穀物と交互に与えるよう助言すべきである。

この点は、日本においても、もう少し注意を払われても良いのではないだろうか。
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妊娠中の飲酒研究

食品安全情報blog2015年7月9日レビューに、「妊娠中の飲酒研究−ニュースに」というものがあった。そのレビューの終わりに、uneyama氏の次のコメントが付いている。
(若い女性が妊娠するかもしれないからお酒は飲みませんなんて言えないから、飲酒を当然とするような雰囲気を変えないと)

私もアルコール飲料を嗜むが、決して他人に飲酒は強要しない。無理に飲酒しなくても構わないよう明言するし、そういう雰囲気作りに気を付けている。妊娠の可能性のある女性に限らず、様々な理由で飲酒を好まないのであれば、決して無理強いしないこと。
酒席じゃないと腹を割って話せないというのは、間違い。酒の有無に限らず、そうした雰囲気作りが大事。今でも、「酒席は腹を割って話せる場」と勘違いしている上司等が少なくない。そういう人との酒席は、私は却って疲れる。

あと、酒席で喫煙されるのも勘弁して欲しい。タバコの臭いが身体・服・持ち物(カバン等)に染み付いて気持ち悪いし、喉がいがらっぽくなって風邪に繋がったりする。職場の飲み会等で、極少数の喫煙者のために多くの参加者が迷惑していることを、喫煙者はいい加減気付いて欲しい。何故職場で分煙が勧められているのか、その問題の本質を理解していないのだろう。
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ビールとDON

食品安全情報blog2015年6月23日レビューから。
・ビールをたくさん飲むことはマイコトキシン暴露を増やす

Drinking a lot of beer increases exposure to mycotoxins

22-Jun-2015

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-06/f-sf-dal062215.php

スペインのバレンシア大学の研究者らはビールや乾燥フルーツのカビ毒を分析し食品規制に従っていることを確認した。1日1L以上のビールを飲む人だけが無視できない摂取量になる。'Food Chemistry'に発表。

ビルについてはデオキシニバレノールは60%から検出、HT-2毒素は9%であるが高濃度ではない。ビールのこれら毒素の平均濃度は30 μg/Lで、穀物ベースの食品に設定されているEU基準200 μg DON/kgに比べると低いとみなせる。

乾燥果物は228検体中デーツの83%、レーズンの80%、イチジクの64%、アプリコットの59%、プラムの26%に汚染がある。最も多いカビ毒はエニアチン、次いでアフラトキシンとオクラトキシン。

以外な情報。
よく考えれば、原料に大麦麦芽(一部ビールは、小麦麦芽や大麦も)が用いられるのだから、それらが汚染されていれば、十分あり得るか。
posted by itoh at 19:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

食品安全情報blogが再開!

本日、食品安全情報blogが再開された。
国立医薬品食品衛生研究所のwebsiteも、(一部)再開された。
とりあえず、ホッとした。
posted by itoh at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月20日

森田倫子氏「「農場から食卓まで」の食品安全−HACCP、GAPおよび食品トレーサビリティ−」

必要に迫られて、HACCPやGAPなどの情報をネット検索していたところ、森田倫子氏の2004年2月発表論文「「農場から食卓まで」の食品安全−HACCP、GAPおよび食品トレーサビリティ−」(PDFファイル、578KB)(「レファレンス」No.637(2004年2月))を見つけた。11年前の論文だが、非常に参考になる論文だった。
A4で25ページに及ぶ論文なので詳細は論文を見ていただきたいが、論文後半で考察されている日本における食品トレーサビリティの部分においては、「う〜ん...」と唸ってしまう箇所が数か所あった。まず、それらの箇所を引用する。
食品トレーサビリティは、安全な食品の生産そのものに資するものではない。食品の安全性確保の根本は、安全な生産、安全な処理・加工、安全な流通・販売を行うこと自体である。
日和佐信子氏(2002年5月まで全国消費者団体連絡会事務局長、現在は雪印乳業株式会社取締役)は、我が国においては、トレーサビリティは一般に食品の安全を担保する手段であると誤解され、トレーサビリティが導入されていれば、その食品は安全であるとの誤った認識が広まってしまったと指摘する。
トレーサビリティが、消費者の安全に関して、事故発生後の回収・撤去という形で被害の拡大防止に寄与し、原因の究明に関与して再発防止に役立つこと、表示の信頼性を高め消費者の選択を助ける機能を持つこと、(また、遺伝子組換え体に関して行う場合には、これらに加えて環境影響監視機能も持つこと)についてあらためて評価がなされるべきであろう。
しかし当然のことながら、農業生産の仕様書や農業者の顔写真の公開自体はトレーサビリティシステムではない。
矢坂雅充助教授(東京大学大学院経済学研究科)は、「トレーサビリティへの信頼性を確保するためには、食品とその情報を追跡・遡及するという基本的な機能を持たない生産履歴情報開示システムなどが、消費者にトレーサビリティと混同されないようにしなければならない」とする。
記録する情報の範囲について、松田友義教授(千葉大学大学院自然科学研究科)は、<略>消費者への情報伝達については、生産者は、農薬使用状況等を公開することにより、消費者から安全性に欠けるとの誤解を受けることを危惧しているとし、
新山陽子教授(京都大学大学院農学研究科)は、<略>詳細な生産履歴の消費者への伝達やインターネット・店頭タッチパネルで検索できるようにすることはマーケティング戦略であって、トレーサビリティの本質ではないと指摘し、

以上引用した部分で指摘されている問題について、まず、松田友義氏の意見について触れておく。
同じ意見を生産者から直接聞いたことがあるし、消費者からもそうした誤解した意見を聞いたこともある。この問題はとても悩ましく、松田氏も述べているように、農薬(や食品添加物)に対する適切な理解を深める地道な努力が必要だと思う。この辺は、学校教育における情報リテラシー教育とも関係してくると考えている。

他の部分についてだが、本来、農業者にこうした情報を適切にコーディネートすべき農業改良普及センター職員等の自治体の農業職職員にも、そのまま当てはまる問題点である。まず、GAPや生産履歴開示を農産物販売のマーケティングや付加価値化に利用しようとして、それが叶わないと分かるとアッサリとダメ出ししたり、自分たちが都合が悪いと判断した情報は隠そうとしたり...、と挙げれば切がない。
少なくとも、GAP、HACCP、トレーサビリティシステムなどの概念はきちんと理解すべきと私は思うのだが、そうした知識を得る機会が、オフィシャルの場で組織的に準備されていない。それでいて、農業生産振興や6次化等を産業振興の立場から煽り立て、何か問題が生じても大した責任は取らない。そもそも、そうした場合にまず責任追及されるのは農業者であって、自治体職員ではない。そういった意味では無責任な立場にあるわけだが、私はだからこそ誤った情報を農業者にコーディネートしないよう、きちんと理解すべきと思う。

私の考えは、間違っているだろうか?
posted by itoh at 14:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境,食品,農業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする